☆お薦め本「医療が病をつくる」その4☆

 今回も引き続きこの本の中からアトピー性皮膚炎とステロイドについてです。
アレルギー発現のメカニズムは副交感神経緊張状態でリンパ球が過剰に増え、周囲の環境に抗原(アレルゲン)が多いことで起きるとされています。この根本的なメカニズムを理解しないで、ステロイド外用剤に頼っていると以下のメカニズムで「ステロイド依存症」なる副作用を起こす危険があると著者は指摘しています。

 新鮮なステロイドホルモンは化学式にО2をつけていず、それが炎症を抑える作用を示します。
また、酸化レベルの低いステロイドは尿から排泄されます。(体外への排泄が簡単ということ)それが、生理的濃度を超えて体内に入ったステロイドホルモンは、組織内に沈着し酸化コレステロールに変性してゆきます。これは、胆汁酸として肝臓から排泄されます。(体外への排泄は困難ということ)

 酸化コレステロールは交感神経緊張状態をつくり、血流のうっ滞と顆粒球の増加状態が組織に隙間なく広がり炎症を引き起こします。
この段階ではすでにアトピー性皮膚炎から酸化コレステロール皮膚炎に移行しているそうです。
この炎症を鎮めるためには前より多くのステロイド剤が必要になってくるとの事。
ステロイドが切れたら、ステロイドを塗らない場所にさえ炎症が広がってゆき、やがてステロイド依存症になってゆく。

 酸化コレステロールは交感神経緊張状態をつくり、ついには不安感、絶望感、鬱状態の精神的症状を引き起こすとの事。
また、副交感神経がずっと抑制されているため激しい免疫抑制状態で(抵抗力が無いということ)もしステロイドから離脱しようとすると免疫機能低下の症状が強く出てくる。-リバウンド反応の1つ
アトピーのお子さんを抱えるご両親の辛さはどれほどだろう?と著者は結んでいます。

 アレルギー発現の根本原因に立ちかえり、著者は副交感神経優位を招く原因の除去を提案しています。
詳しくはぜひ本を読んでみて下さい。この本では一貫して交感神経と副交感神経のアンバランスが病気の成り立ちに密接に関係があるとされています。

 カイロプラクティックの世界でも同じく交感神経と副交感神経のアンバランスが病気の成り立ちに密接に関係があると考えた治療家がいました。
1978年に逝去されるまでに100万人の患者を診たといわれるドクター・クラレンス・ガンステッドというカイロプラクティック界の偉大な巨人です。

 この本の著者はメディカル・ドクター(M.D)の立場としては異端(失礼)かもしれませんが大きな可能性を秘めていると思います。
カイロプラクティック(東洋医学も)は全体の調和を考える医学なので、痛みや症状にとらわれずバランスを考えます。
この両者の良い所が融合すればもっと面白い健康像が描けるのではと思うのですが。


☆お薦め本「医療が病をつくる」その3☆

 今回も引き続きこの本の中から薬漬け医療がなぜ起こる?についてです。
 著者は老人の多様な訴えに対し、医師がまじめに症状を改善しようと症状毎に薬を出した結果が薬漬け医療の現象であるとしています。
しかも、多様な訴えの最初の原因が痛み止めの処方であると言っています。

 老化現象の初期症状に筋力の低下があるのですがそれにより筋肉疲労が起こり、血流障害になり治癒反応として血流が回復した時に痛みが発生するそうです。

§ 痛みの発生と鎮痛剤についての補足 §
生体組織に何らかの傷害が起きると、そこの細胞膜は破壊され細胞膜からアラキドン酸が放出されますアラキドン酸はカスーケード反応という階段状に次々と起きる反応で合成物をつくりプロスタグランジンという発熱・発痛作用のある物質が出来あがります。一部の鎮痛剤はアラキドン酸→プロスタグランジンの合成を阻害することで痛みが出ない薬理作用があります。

 痛み止めは痛みの一時的な消去と交感神経緊張状態を招きます。
著者は痛み止めの長期連続使用で以下のような交感神経緊張症状がもたらされるとしています。

頻脈、高血圧、末梢循環不全(手、足の冷え)、顆粒球の増多、粘膜破壊(胃を悪くする等)関節や骨の変形、尿量低下、腎障害、白内障、不眠、慢性疲労、食欲不振、便秘、口渇、動脈硬化、狭心症、心筋梗塞、脳卒中、発癌、多臓器不全等・・・

これらの症状を抑えるためにさらに降圧剤、循環改善剤、睡眠薬、下剤、胃薬などが併せて処方されてゆく
著者によると唯一患者を救う方法があるそうです。それは、...薬を全部やめること!

 アメリカの医師用教科書「ドクターズルール425」の引用がされてます。

「可能ならすべての薬を中止せよ。不可能なら、できるだけ多くの薬を中止せよ。」
「4種類以上の薬を飲んでいる患者は医学知識の及ばぬ危険な領域にいる。」
「高齢者のほとんどは薬を中止すると体調がよくなる。」

いかがでしょうか?
医師、患者、製薬メーカーの誰も悪意を持っていなく、症状を何とか改善しようとしているにもかかわらず、病状が悪化してゆくという...下手なホラーよりゾッとする話です。
 次回も引き続きこの本の中からアトピー性皮膚炎とステロイドについてです。


☆お薦め本「医療が病をつくる」その2☆

 今回は引き続きこの本の中から病気の原因は?についてです。
著者は日常的に起こっている多くの病気は「生活習慣病」という言葉がある通り、日常の活動、食生活、心の悩みが大半(80%近く)の原因だと考えています。
その中でもストレス(都市生活では排気ガス、田舎では農薬や環境 ホルモンを含めた広い意味でのストレス)が交感神経を過度に緊張させ病気になる大きな原因だとしています。以下は病気になるメカニズムです。

[胃潰瘍]
胃潰瘍の原因は胃酸や消化酵素が胃壁を荒らすという「自己消化」の説が100年来定説とされてきましたが、しかし、著者はストレス、過労、鎮痛剤使用によって引き起こされると断定しています。

 ストレスで交感神経緊張状態が続くと血流障害に加えて、胃粘膜下に顆粒球が出現し増加します。それにマクロファージという白血球が出すTNF(潰瘍壊死因子という物質)やヘリコバクター・ピロリ菌が産生する物質で活性化された顆粒球が活性酸素を放出し、組織を破壊します。これがびらん性胃炎となり慢性化すると胃潰瘍をつくるそうです。

 現在行われている治療は「胃酸」が悪玉として酸を抑える制酸剤が使われていて、治療にはこういったメカニズムに対する理解は無く、また、現在の診療システムでは時間をかけてストレスなどの根本原因に迫ることが難しいと著者は嘆いています。

[癌]
癌になっている人の多くが働き者のがんばり屋であることからも分かるように働き過ぎと心の悩みが癌の原因であると著者は言っています。

 白血球の自律神経支配によって交感神経と副交感神経がバランス良く働き生体の防御を行っています。
「働きすぎ」「大酒飲みの習慣」「心の悩み」を常に行っていると交感神経緊張状態が持続します。
そのときの軽い症状としては脈拍上昇、高血圧、高血糖、腰痛、肩こり、不眠、慢性疲労などが持続します。
体の中では顆粒球が増加し、血流障害が起こり、皮膚や腸の細胞に対して顆粒球の攻撃が続きます。
皮膚や腸の細胞は盛んに再生を行いますが、この交感神経緊張状態が年単位で続くと細胞再生が限界を迎え遺伝子異常が起こります。
(実際、著者らの研究グループによると早期~進行胃癌まで一様に顆粒球増加が見られたそうです)

 本来癌細胞が発生してもそれを攻撃するNK(ナチュラルキラー)細胞やT細胞がいるのですがそれらは副交感神経の支配下で働くので交感神経緊張状態では十分活躍できないのです。
このようにして交感神経緊張状態下でリンパ球という敵が少ない環境で癌細胞が自己増殖を行うのです。

 癌から逃れるためには、生活を振り返り交感神経緊張状態を強いてきた原因を取り除く事だと著者は説きます。
働き過ぎなら仕事の時間を減らし、趣味や睡眠の時間を増やす。大酒飲みなら酒量を減らす。難しくとも心の悩みを減らす、あるいは出来なくとも悩みのある状況が体に多大な影響を及ぼすことを知っているだけでも価値があるとしています。
他に興味深い原因として痛み止めの長期使用や癌検診も癌の引き金になりかねないと指摘しています。

 少し難しいでしょうか?
ストレスは検査器具で数値化しにくい物です。それと病気の原因を自律神経ー免疫というメカニズムで解明しようとしているところが画期的だと思うのですが・・・
次回も引き続きこの本の中から薬漬け医療がなぜ起こる?についてです。


☆お薦め本「医療が病をつくる」その1☆

「医療が病をつくる」
安保 徹著 岩波書店
この一連の記事は2002年のコラムから再度掲載したものです。
安保 徹先生の書物はずいぶんと出版されるようになってきましたが、この本は著者初めての本「未来免疫学」の後、3,4冊目だったと記憶しています。

 まずは、本のカバーの書評から
「腰痛、アトピー性皮膚炎から胃潰瘍、糖尿病、癌にいたるまで、なぜ病は治りにくいのだろうか。著者は、人体の秘密ともいうべき自律神経系―内分泌系―免疫系の相互関連のメカニズムを解明。ストレス、免疫を理解しない治療、薬の処方が病状を悪化させていることを指摘。病気の成り立ちや薬の作用を免疫学の立場から説き明かし病気にかからないためには、またかかったらどうしたら良いのかをアドバイスする。」

 この本はとてもお薦めです。目からうろこの落ちるような斬新な見解の連続で今まで熱のあるうちは冷湿布で・・などとアドバイスしていた自分の知識を引っくり返されたような思いでした。病気の成り立ちを自律神経と免疫の関係から説明しているので、アレルギー疾患で悩んでいる人やアトピーのお子さんで心痛めているご両親、鎮痛剤が手放せない方にお薦めです。
ただし、著者は医師への訴えも意図しているようでかなり専門用語が多用されています。解らない語句に引っかからずに読み進めましょう。

 この本のこういった所を知って欲しい、というのがいくつもあります。それをこれから何回かに分けて紹介していきたいのですが興味が出れば、買って読んでみて下さい。

まずは自律神経と白血球の関連から。
自律神経とは運動神経のように自分の意思とは関係無く、年中無休で24時間内臓のコントロールを中心に働いている神経です。
自律神経にはシーソーのように片方が働けば、片方が休むといった関係の交感神経と副交感神経があります。

 交感神経が働くときとは、身体は緊張状態にあります。動物がエサ取り行動に出るときに働く神経で運動、闘争、逃避のときに必要な機能を高めます。具体的には運動機能を高めるために心臓の働きを高め、呼吸を速くし、消化管の働きを抑制します。
また、闘争、逃避など緊急事態に対応しないといけない為、この神経が働いている時、痛みを感じる事が少ないのです。

 例えば大勢の人がいる前で転倒した時、何事も無かったように取り繕い、後で落ち着いた時擦りむいた傷を痛く感じたことがあるでしょう。あの時はアドレナリンがバンバン出てて交感神経緊張状態といえます。その状態から脱した時(副交感神経への戻り反射)に痛みが感じられるのです。

 副交感神経が働くときは、身体は休息状態にあります。取ったエサを消化、吸収、排泄するときに働く神経で、休息、消化、吸収、排泄に必要な機能を高めます。具体的には心臓の働きを穏やかにし、分泌現象を促進し、消化管の働きを活発化します。

上記の痛みを感じるというのはこの副交感神経が働く時の反応のようです。この本を理解するためには、「痛み」は悪いことでなく、行き過ぎた緊張状態から戻るときの一時的な反応であり体の出す正常な反応だととらえる事が重要です。

 そして、この本で重要な自律神経と関連のある白血球についてです。
白血球には大きく分けて顆粒球とリンパ球がありますが、著者の研究グループではこの白血球と自律神経の間に関連があり、交感神経は顆粒球を働かせ、副交感神経はリンパ球を働かせていることを発見したのです。

 顆粒球は侵入してきた細菌にくっつき細菌を食べる作用を持っています。これが増えすぎると顆粒球が出す活性酸素で組織が傷害されます。

 リンパ球は顆粒球では捕捉できないさらに小さなウィルスなどを抗体という飛び道具を使って攻撃し身体を守っていますが、これが増えすぎるとアレルギーを起こします。

 顆粒球とリンパ球の割合は正常な人で顆粒球60%リンパ球35%だそうですが、面白いことにはこの割合の違いで人の性格や出易い症状が異なるらしいのです。

 顆粒球70%リンパ球25%の人は交感神経緊張型(顆粒球人間)で以下の性格や傾向が強いようです。
痩せ型・筋肉質、皮膚は浅黒い、脈が速い、性格は攻撃的で意志が強く集中力が高い、短期決戦の働き者。
怒りっぽくて視野が狭い、そう状態に近い、活性酸素が多い。
便秘、胃潰瘍、胃もたれ、食欲不振、癌体質。

 顆粒球45%リンパ球50%の人は副交感神経緊張型(リンパ球人間)で以下の性格や傾向が強いようです。
ふくよかな体型、女性に多い、皮膚はみずみずしく色白。にこやかでのんびりした性格、ストレスに強い、感受性が強い。持続力があり長生き体質。
注意力が散漫、瞬発力は無い、鬱状態に近い。
下痢、アレルギー体質。

 いかがですか?交感神経緊張型は多忙で責任重大なビジネスマンに多いタイプのようです。
私の場合2年前(2000年で今から9年前)の血液検査では顆粒球約63.5%リンパ球26.5%とやや交感神経緊張型のようでもう少し副交感神経が働くようにしなければと思っています。

定期的に健康診断を受けてる方は白血球のデータはあるでしょうから、探し出して自分が顆粒球人間かリンパ球人間かチェックしてみるのもいいですよ。
次回は引き続きこの本の中から病気の原因は?についてです。 


☆水は答えを知っているその2☆

前回ご紹介した本の中で個人的に感銘を受けたことについて。
その著書の中で「人間は生まれてときは体の90%が、成人になると70%が水で、おそらく死ぬときになってやっと50%を切るのでしょう。人間は一生を通じてほとんど水の状態で生きている・・・」というくだりがあります。

私は勤めていた会社を退職して3年間カイロプラクティックの専門学校で勉強をしていました。朝は9:30から夕方の16:00まで。
カリキュラムは午前は実技、午後は基礎医学です。

基礎医学の内容は解剖、神経解剖、生理、病理、臨床、薬理、衛生など等。それを2年間。
それらの勉強を進めると、最初人体は構造物(固体)のように捉えていたのです

が、カイロプラクティックのなかのSOTというテクニックやオステパシーの勉強を進めるうちに人体を液体で出来た物として捉えるイメージが進みます。
そして、慈恵医大やハワイ州立大学での解剖実習を経験してそのイメージはさらに深く、強くなったのです。

この本を読んでいまいちど目を見開かされた感じがします。
そして、カイロの調整のとき人の体を液体としてイメージしながら行うと、今まで以上に反応が良いのです。
これに気づかせてくれただけでもこの本に感謝!です


☆水は答えを知っている☆

「水は答えを知っている」 江本勝 著 サンマーク出版
上のタイトルの本をご存知でしょうか?
内容を簡単に紹介すると、「雪の結晶は二つとして同じ物はない」という事実から水を氷結させて写真を撮ることを始め、水に様々な情報を与えてから結晶化させるとその情報に応じて結晶が様々な形(表情)をみせることを発見。
どのような情報が水にとって良いのか悪いのか研究をはじめる。東京の水道水、スイスの水、やさしい言葉をかけた水、キレイな風景を見せた水、電磁波を与えた水等・・・
水が様々な結晶をつくることで我々はメッセージを受け取ることが出来る。という内容です。

著者は物体が固有に持っている波動という情報を測定し治療に役立てる療法をしていたと書いてありましたが、私が以前いた治療院でも波動を測定する機械がありました。

どういうものかというと、物体に固有の波動があるということは臓器や細胞にもそれがあり、また病気にはそれぞれの病気の波動が指紋のようにあるとの事。それを打ち消す波動を体に与えると病気が治るいう理論です。

その是非はともかく、当事院長先生に信じられないなら実験してみるか、と言われ、波動を転写する機械を使ってお酒の情報を真水に転写させ、水のほうを(お酒ではなく)飲んでみると、なんと酔っ払う!!
あれは驚きでしたね。

酒好きの私としてはこの機械と転写元の高級なお酒が1本あればあとは一生お酒は買わずに水で事足りる、とよこしまな考えを抱いたのですが、その機械はン百万するそーで残念!

本は偏見や先入観を持たずに読めばポジティブなことが大切なんだという事を書いてある面白い内容です。