今回も引き続きこの本の中からアトピー性皮膚炎とステロイドについてです。
アレルギー発現のメカニズムは副交感神経緊張状態でリンパ球が過剰に増え、周囲の環境に抗原(アレルゲン)が多いことで起きるとされています。この根本的なメカニズムを理解しないで、ステロイド外用剤に頼っていると以下のメカニズムで「ステロイド依存症」なる副作用を起こす危険があると著者は指摘しています。
新鮮なステロイドホルモンは化学式にО2をつけていず、それが炎症を抑える作用を示します。
また、酸化レベルの低いステロイドは尿から排泄されます。(体外への排泄が簡単ということ)それが、生理的濃度を超えて体内に入ったステロイドホルモンは、組織内に沈着し酸化コレステロールに変性してゆきます。これは、胆汁酸として肝臓から排泄されます。(体外への排泄は困難ということ)
酸化コレステロールは交感神経緊張状態をつくり、血流のうっ滞と顆粒球の増加状態が組織に隙間なく広がり炎症を引き起こします。
この段階ではすでにアトピー性皮膚炎から酸化コレステロール皮膚炎に移行しているそうです。
この炎症を鎮めるためには前より多くのステロイド剤が必要になってくるとの事。
ステロイドが切れたら、ステロイドを塗らない場所にさえ炎症が広がってゆき、やがてステロイド依存症になってゆく。
酸化コレステロールは交感神経緊張状態をつくり、ついには不安感、絶望感、鬱状態の精神的症状を引き起こすとの事。
また、副交感神経がずっと抑制されているため激しい免疫抑制状態で(抵抗力が無いということ)もしステロイドから離脱しようとすると免疫機能低下の症状が強く出てくる。-リバウンド反応の1つ
アトピーのお子さんを抱えるご両親の辛さはどれほどだろう?と著者は結んでいます。
アレルギー発現の根本原因に立ちかえり、著者は副交感神経優位を招く原因の除去を提案しています。
詳しくはぜひ本を読んでみて下さい。この本では一貫して交感神経と副交感神経のアンバランスが病気の成り立ちに密接に関係があるとされています。
カイロプラクティックの世界でも同じく交感神経と副交感神経のアンバランスが病気の成り立ちに密接に関係があると考えた治療家がいました。
1978年に逝去されるまでに100万人の患者を診たといわれるドクター・クラレンス・ガンステッドというカイロプラクティック界の偉大な巨人です。
この本の著者はメディカル・ドクター(M.D)の立場としては異端(失礼)かもしれませんが大きな可能性を秘めていると思います。
カイロプラクティック(東洋医学も)は全体の調和を考える医学なので、痛みや症状にとらわれずバランスを考えます。
この両者の良い所が融合すればもっと面白い健康像が描けるのではと思うのですが。