今回は引き続きこの本の中から病気の原因は?についてです。
著者は日常的に起こっている多くの病気は「生活習慣病」という言葉がある通り、日常の活動、食生活、心の悩みが大半(80%近く)の原因だと考えています。
その中でもストレス(都市生活では排気ガス、田舎では農薬や環境 ホルモンを含めた広い意味でのストレス)が交感神経を過度に緊張させ病気になる大きな原因だとしています。以下は病気になるメカニズムです。
[胃潰瘍]
胃潰瘍の原因は胃酸や消化酵素が胃壁を荒らすという「自己消化」の説が100年来定説とされてきましたが、しかし、著者はストレス、過労、鎮痛剤使用によって引き起こされると断定しています。
ストレスで交感神経緊張状態が続くと血流障害に加えて、胃粘膜下に顆粒球が出現し増加します。それにマクロファージという白血球が出すTNF(潰瘍壊死因子という物質)やヘリコバクター・ピロリ菌が産生する物質で活性化された顆粒球が活性酸素を放出し、組織を破壊します。これがびらん性胃炎となり慢性化すると胃潰瘍をつくるそうです。
現在行われている治療は「胃酸」が悪玉として酸を抑える制酸剤が使われていて、治療にはこういったメカニズムに対する理解は無く、また、現在の診療システムでは時間をかけてストレスなどの根本原因に迫ることが難しいと著者は嘆いています。
[癌]
癌になっている人の多くが働き者のがんばり屋であることからも分かるように働き過ぎと心の悩みが癌の原因であると著者は言っています。
白血球の自律神経支配によって交感神経と副交感神経がバランス良く働き生体の防御を行っています。
「働きすぎ」「大酒飲みの習慣」「心の悩み」を常に行っていると交感神経緊張状態が持続します。
そのときの軽い症状としては脈拍上昇、高血圧、高血糖、腰痛、肩こり、不眠、慢性疲労などが持続します。
体の中では顆粒球が増加し、血流障害が起こり、皮膚や腸の細胞に対して顆粒球の攻撃が続きます。
皮膚や腸の細胞は盛んに再生を行いますが、この交感神経緊張状態が年単位で続くと細胞再生が限界を迎え遺伝子異常が起こります。
(実際、著者らの研究グループによると早期~進行胃癌まで一様に顆粒球増加が見られたそうです)
本来癌細胞が発生してもそれを攻撃するNK(ナチュラルキラー)細胞やT細胞がいるのですがそれらは副交感神経の支配下で働くので交感神経緊張状態では十分活躍できないのです。
このようにして交感神経緊張状態下でリンパ球という敵が少ない環境で癌細胞が自己増殖を行うのです。
癌から逃れるためには、生活を振り返り交感神経緊張状態を強いてきた原因を取り除く事だと著者は説きます。
働き過ぎなら仕事の時間を減らし、趣味や睡眠の時間を増やす。大酒飲みなら酒量を減らす。難しくとも心の悩みを減らす、あるいは出来なくとも悩みのある状況が体に多大な影響を及ぼすことを知っているだけでも価値があるとしています。
他に興味深い原因として痛み止めの長期使用や癌検診も癌の引き金になりかねないと指摘しています。
少し難しいでしょうか?
ストレスは検査器具で数値化しにくい物です。それと病気の原因を自律神経ー免疫というメカニズムで解明しようとしているところが画期的だと思うのですが・・・
次回も引き続きこの本の中から薬漬け医療がなぜ起こる?についてです。