☆タテ糸ヨコ糸☆
私が靴を作るシゴトにつく足がかりを作ってくれたのは原宿の靴工房です。
その工房の主宰である師匠が、7年ほど前ケガで入院をしていました。その師匠のお見舞に行った時に聞いた話です。
今現在靴を作っている手仕事(手私事と師匠は言っている)をハタオリに例えると、技術が「タテ糸」で自分のコンセプトは「ヨコ糸」である。
私達、靴の作り手の取り組みはこのタテ糸とヨコ糸を組んで、1枚の布に仕上げることに似ている。
習得した技術が例え同じであろうと、仕上った布は十人十色。その布は、作り手の個性であり、自己表現・・・いや、その人間そのものなのだ。その人が感じたコト、経験したコト、考えたコトetc…がぎっしり詰まったその布で、何を包むか?
これは、どうコミュニティ(履く人、同業の仲間、その他周りの人々や社会)と関わっていくか、ということが我々の課題である。との事。
師匠曰く私には、足のメカニズムについての研究や、リフレクソロジーといったヨコ糸がある。
そのコンセプト=「ヨコ糸」でどういった布が出来あがるか楽しみにしている・・・と。
常に一生懸命取り組んでいるつもりですが、ともすれば目的意識を無くしてしましそうな毎日。
これは私達、靴の作り手だけでなく、あらゆる分野の人に当てはまると思います。
師匠の話を聞いて、一筋の光明をみたような気持ちになりました。
入院中の師匠を励ましに行ったつもりが、逆に励まされて帰ってきたのを思い出します。
Be the first one to comment