私は少年時代は比較的甘い食べ物も好きだったのですが、酒を飲むようになってからは好みが変わり甘い食べ物は苦痛で苦痛で・・・
例えば、よんどころない事情で大変お世話になっている方を目の前にして、その方が勧めるシュークリームを食べなければならなかったりしたとします。
「美味しいだろう?遠慮せずにもっと食え!ほら」
まさか、甘いものが苦手だとは言えず、2個、3個と食べていくうちに顔が引きつってゆく・・・そういう状況があったとすると、その日の夜には巨大なシュークリームの中で溺れて苦しんでいる悪夢を見るだろうな、というぐらい甘いものは苦手です。
だから、ケーキなどは結婚するまで外であまり買ったことがありませんでした。
これは独身時代、会社員で営業をしていた頃初めてケーキを買った時の恥ずかしい話です。
当時、自分の仕事に関し取引先の事務の女性方にかなりお世話になっている状況でした。ある日そこに向かう途中で何か甘いものでも買って持って行った方が良いだろうな、と思いケーキを買った時の出来事です。
そこは駅ビルの喫茶コーナの片隅にあるケーキのブースで、真面目そうな若い女性が対応してくれていました。
「***円になります。」
「はい。」
「お持ち帰りの時間は?」
今買ってるんだから今持って帰るに決まってるだろう?何訳のわからないことを聞いてくるんだ?
と思いつつ表情を変えずに
「今持ち帰ります。」
今度は女性がはぁ?と言う表情です。
そして先程と全く同じセリフを繰り返します。
「ですから、お持ち帰りの時間は?」
私は喫茶コーナーに目を見やり、なるほどここではケーキを買ってから預けておいてお茶を飲んで帰り際に持ち帰るお客が多いんだな、と納得し
いかにもあなたの言ってる意味は理解しましたよ、という表情でもう一度
「今払ってそのまま持ち帰ります。」
と答えました。
女性はやれやれ困った人だ、という表情をしながら
「ケーキを買ってから家で食べるまではどれぐらい時間がかかりますか、という事を聞いてるんです!」
そこでやっと持ち運びの所要時間を聞かれているんだ、という事が分かり赤面状態に。
「あ~15分ぐらいですかね。」
と答え、後はバツの悪い事悪い事。
このやり取りは英語にするとはっきりするのになぁ~、と思うのです。
彼女の質問はHow long ~?
私が受け取ったのはWhen~?
毎日、何十人とケーキを販売してる彼女と、生まれて初めてケーキを買った私とのギャップです。
このやり取りは今でも自分にとって教訓となります。
何年もこの業界にいると医療系の専門用語に馴れてしまい、患者さんとのやり取りに
「腰椎5番が変位していて・・・」
と口走ってしまったり、セミナーに出てて
「***が起きる帰序は、」
等と一般の人にはちんぷんかんぷんの言葉を使いがちになってしまいます。
赤面した時の気持ちを忘れず、出来るだけ平易に説明する事を心掛けようと思っています。
もし、来院されて私が難しい言葉を使っていたら、書いてる事と違うじゃないかーと指摘してください!
次回はこんなことを書きながら、性懲りも無く相手に通じないことを言ってしまった話です。