今回の話は前回の話と少しつながりがあります。
前回の話の中で、
----某不動産屋さん
「お風呂修理の件なんですけど。風呂釜を修理するのであれば大家さんにご負担いただきますけどね。風呂釜を全交換だったら借主さんと大家さんの折半と言う事になってますから。契約書にもそうなってますからね。」
この報告を妻から受けた時に私は
「そんなばかな!」
と、絶句したのです。
なぜ絶句したのかと言うと、まだそんな商売をやってるのか?という驚きが大きかったのです。----
まだそんな商売とは・・・本来、家主が負担すべき事を何も知らない居住人に押し付ける、という程の意味です。
賃貸住宅の退去時の現状復旧に関するトラブルはかなり社会問題化して久しく、そのために旧建設省の時代から「ガイドライン」を発行してきているのに、まだこんなやり方がまかり通っているものなのでしょうか?
ここで私の賃貸住宅の履歴を振り返ると
1990年~95年までは大阪の城東区蒲生という街の1DKのマンションでした。
当時の私の職場はJR環状線 京橋駅に程近く、この駅の外側の街は上野アメ横と新宿歌舞伎町を足して2で割ったような雰囲気です。
この街の商店街にはサウナ「グランシャトー」があり、深夜のテレビのローカル枠でで少しエッチなシーンがあるCMで有名なんですが、
そのCMソングがまた出色なのです。
♪京橋はええとこでっせ、グランシャトーがおまっせ~
このCMソングがサウナ前では朝から繰り返し流れてる、夜は夜で飲み屋(女の子が横にはべるお店ですね)や風俗店の客引きがうろうろしてる。
そういう街をいつも突っ切って歩いて帰っていたのです。
さて、退去時なのですが阪神大震災を避けるように95年の正月に東京へ転勤でホテル暮らし。
翌週引継ぎのために新幹線で京都まで行き、そこからは京阪電車で京橋までやっと行けるという状況でした。
そのときの土日と退去前の土日で荷造りをしたわけですから、どうしても室内の掃除がちゃんと出来ませんでした。
しかも、当時の私は1日に2箱は吸うヘビースモーカーで壁はヤニだらけ、カーペットは焼け焦げがいくつもある、ヤカンを熱いままカーペットに置いて出来た直径20センチほどの焦げ跡もあったのです。
これは何かいわれるかな~と緊張して退去日を迎えたのです。
鍵の引渡し時に不動産会社の担当者が来たのですが、2,3分ざっと部屋を見回し
「はい、大丈夫ですよ。鍵を受け取ります。」
と、あっさりOK。
次の賃貸住宅は1995年~97年で荒川区の西日暮里の2DKのマンションでした。
引越し前の私は小伝馬町のホテルに長期滞在をし、そこから日比谷線に乗って上野へと通勤する日々でした。
引越しをした数週間後に例の事件が起こるのです。
「地下鉄サリン事件」
日比谷線散布役の林実行犯は7時43分に上野駅から乗車し、秋葉原で大量散布。
乗客はすぐにサリンの影響を受け、次の小伝馬町駅で乗客がサリンのパックをプラットホームに蹴り出し、被害が拡大。
8時10分に乗客が車内非常通報装置を押すと列車は築地駅で停車。
私が数週前に乗っていた時間帯とドンピシャです。(引越しが遅れていたら私もサリンの被害にあっていたかもしれません)
運良く東京生活をスタートする事ができた3年間でしたが、退職に伴い引越しする事になりました。
(それまでの賃貸契約は会社の借り上げ社宅だったからです)
この退去時は前回と違い、時間はたっぷりあります。
しかも、夫婦2人分で家財を出した後の室内を掃除できましたので、かなり綺麗にして部屋を返せます。
鍵の引渡し時に不動産会社の担当者が来て、ざっと見渡して言ったセリフは
「こりゃ、ひどい。直すのにずいぶんかかるよ。」
どこが?今あなたが見渡した視線の先に破損も汚れもキズも1つも無いでしょ?
というセリフを飲み込み
「退職に伴って退去しますので、会社に迷惑をかけたくありませんので、どうか過大請求しないようにしてください。」
と言って鍵を引き渡したのです。
どうやらあの口ぶりは鍵の引渡し時にいつも使ってる常套句のようです。
続きは次回に。