村上春樹がその才能を絶賛した片岡義男の小説に「幸せは白いTシャツ」というものがあります。
主人公の女性が新品のパッケージからTシャツを取り出し、真新しいTシャツを着たその瞬間に幸せを感じ、この気持ちを表現するために自分に何の行動が必要か考えバイクで放浪の旅に出る・・・という内容だったかな。
約30年前の1982年の作品なのでぼんやりとした記憶でしかないのですが。
洗練されたアメリカ人が描くような小説でしたので、当時の私はこのTシャツはBVDではないだろうな、Hanes かな FRUIT OF THE LOOM かもな、と思ったものでした。
さて、著者によると「幸せは白いTシャツ」というタイトルは英語の慣用句にHappiness Is a・・・・・という表現があり、(ちなみに、BeatlesにHappiness Is a Warm Gunという曲があることを引き合いに出しています)・・・・・のところに何を入れたら面白いかな、と長年考え続け「白いTシャツ」という言葉が浮かんで小説のアイデアがひらめいたそうです。
著者によると「納豆」という候補も浮かんだんだとか。(まぁ、ジョークでしょうが)
で、現在の私にはHappiness Is aの後に「納豆」ならぬ「生シラス」がはまれば、バツグンに幸せなのです。
以前HPコラムで「鎌倉美味いもの自慢シリーズ」で真っ先に取り上げたのが鎌倉の釜揚げシラス。
シラス漁師の揚げたシラスはこんなに美味いのか!と感動したのがコラムで取り上げるきっかけでした。
ところが、それ以上に美味しいと評判の生シラスを買ってきて食べても苦味があってあまり美味しくない。
それから長らく生シラスは食べていなかったのです。
ある日、いわしや地魚料理の「はま善」さんで出してくれた生シラスが美味しい!!
で、女将さんに聞くと生シラスは買ってきたら水洗いせずにそのまますぐにザルにあけて、水気を切るのがコツだとか。今まで水洗いしていたんですね~それが苦味を出していたとは。
今鎌倉の切り通しの中では材木座の「もんざ丸」坂ノ下の「三郎丸」「喜楽丸」のシラス店があります。
坂ノ下から月に3回ほどご来院いただく方が、来院の日にタイミング良くシラスが取れれば、獲れたての生シラスや釜揚げシラスを持って来てくれるのです。
「そうやって、喜んでくれるのを見るのが楽しみなんですから、気を遣わずに受け取ってくださいね。」
こういう風なせりふとともに。
その日の食卓には生シラスと生姜しょうゆ・・・・それから大好きな日本酒で晩酌。
幸せで言うことなし!です。
冒頭の小説「幸せは白いTシャツ」では日常のささやかな瞬間の幸せから人が能動的に動いてゆくシーンを描く、というものでした。
私にとって数ある幸せの中のひとつに、感謝の印としてとっても美味しい生シラスを持ってきてくれる人がいる。
それを食べてる夕食は十分ありだな、と思えるのです。
Happiness Is a Nama-Sirasu
あなたにとって Happiness Is a・・・・・ は何が入るでしょう?