今回もテレビの話を。
先日5月10日にNHK BSで「総合診療医ドクターG」という番組をたまたま見ました。
番組の内容は番組HPから引用すると、
-新感覚の知的医療エンターテインメント! 実際にあった症例の再現VTRをもとに医療界の名探偵ドクターGと研修医たちが白熱した議論と推理を繰り広げます-
文中の「!」エクスクラメーションマークはそのままついていたものです。
「医療」に「エンターテインメント」が付くだけでもすごいのに「!」まで付いてしまう・・・(笑)
番組は実際にあった症例を3本ほどの再現VTRを流し、経験豊富なERの医師がドクターGとなり、この患者さんの病態は何か?を4人の研修医に推理させてゆく、というものです。
当日、せっかちな私はチャンネルをせわしなく変えている途中、たまたま見つけこの番組を見ることにしました。
番組のあらすじはHPから
-症例#6「いつもとは違う腹痛」ストーリー 工藤祐作さんは39才のタクシードライバー。
普段からお腹の調子が悪く、仕事中もトイレを探してしまいます。
そんなある日、いつもとは違う激しい腹痛に吐き気を訴え、夜間の救急外来に駆け込みます。 -
私が見た時間は再現VTRの2本目からでした。
工藤祐作さんは救急外来のベットでまず痛むみぞおちを押さえていますが、痛む場所が右の下腹部に移動する。
その後、便意をもよおし妻に抱えられるようにして、右足を引きずりながらトイレへと向かう廊下を歩いている。という、シーンでした。
それを見た私の第1印象は、
「典型的な急性虫垂炎じゃないか」
10年以上前に臨床学と病理学で勉強したっきりの知識ですが、痛みが心窩部から右下腹部へ移行して限局してくる、マックバーネイ点に圧痛があるというのは典型的な急性虫垂炎の症状と習ったのですが・・・
この2本目までのVTRを見た時点での4人の研修医が出した推理(病気の見立て)は
2人が「急性虫垂炎」 →[やっぱり!そうでしょう]
1人が「解離性大動脈瘤」→[心窩部痛から循環器を疑ったんだな。重篤かつ緊急な病気を疑うのもセオリーだよな]
1人が「胆石」 →[疝痛発作は痛いというしな]
番組は続きます。
ドクターG役の経験豊富なERの医師が続いての段階でどういう検査をするのか?を研修医たちに質問します。
1人はCTスキャナー検査を提案。
ドクターGはCTスキャナーは規模の大きな病院にあるもので、そこまでの設備を持っていない病院で自分たちが検査するとしたらどうするのかと、切り返します。
「胆石」を疑っている研修医がエコーを提案。
それが採用され、3本目の再現VTRでは患部に黒い像が映っている。胆石の場合エコーでは白く映るらしい。
で、結論は「急性虫垂炎」
この番組を見ていると、同じ症例を目の前にしても医師の見立ての違いがあるのがよく分かります。
素人目にもこういうのを見ていると、経験豊富な医師に『速やかに』かつ『的確に』病気を探り当てて欲しいものだ、と思ってしまいます。
すると案の定、テロップが・・・
-○△×病院の救急外来では医師の指名は受け付けていませんのでご了承下さい-
そりゃそうだろうな~こういう番組見てたらその地域の人が急に具合が悪くなったら、
「この前TVに出てたERの○○先生に診てもらって下さい」
なんて人が続出しそうだもんな。
過去の腹痛を振り返り自分の場合はどうだったろう、と45年の人生を振り返ってみると1番痛かった腹痛は中学2年生のことでした。
その話はまた次回にでも。