前回は身体の賞味期限を伸ばそうという話でした。
その手段として必ずしも自然の療法でなければならないという訳ではありません。
今回は私の母が手術をして賞味期限を伸ばしたという話です。
私の母は若い頃から心臓に持病がありました。
どういう病気かというと、心臓には自動的に拍動を続けるためにペースメーカー細胞があるのですが、先天的にその細胞に異常があり、ふとした拍子にペースメーカーが乱れ早鐘のように拍動のリズムが速くなり発作が止まらない状態になってしまうのです。
大きな発作が起きたのは母が30歳半ばの頃です。
まだ10歳そこそこの私は明け方5時に父に起こされました。
発作を起こした母をこれから病院へ運ぶとのこと。寝室に行って母に呼びかけても意識不明で返事は無く、顔は土色で触ると人の身体ではないほど冷たく、このまま帰らぬ人となったらどうしようと大変怖かったのを覚えています。
その後、何度か入退院を繰り返します。耳や子宮の手術はしたのですが、心臓に対する有効な治療はなされないままでした。
それから20年頻繁に発作を起こし、いつ発作が起こるかわからない身体の状態というのはかなりきつかったことと思います。
そんな母が50歳半ばの時に手術を決意します。
手術前の同意書には成功率は80~90%と記載されています。高いものの100%ではありません。しかも、場所は心臓です。
決断に踏み切った理由は手術を決断する2~3年前からはまりだした「海外旅行」!
元気な時に手術にトライして上手くいけば、残った余生で好きな海外旅行をもっと楽しみたい・・・
結果、手術は成功で以降は嬉々として毎年海外旅行に行くようになりました。
ただ身体の賞味期限を伸ばすのではなく、その先に何をしたいのか--が大切なようです。
日々の臨床の場でみていると、元気になったらあれをしたいという目標設定は男性より女性のほうが上手なようです。
厚生労働省発表の2009年度平均寿命によると 男性 79.29歳 女性 86.05歳
女性のほうが6歳とちょっと長生きです。
こういうところにもその差が現れるのかもしれません。