前回はどうでもいいじゃないか!というぐらい“痛み”が発生する過程と鎮痛剤について触れました。
今回はカイロプラクティックの調整の過程で“痛み”をどう考えるのかと、治り易いタイプの人、治りにくいタイプの人についてです。

 “痛み”が発生するというのは身体の中で起きている反応系の結果であって、原因ではなく“痛み”に問題があるのではない、というのが前回の要旨でした。
まだ私が学生だった頃、諸先輩の先生方から注意しなければならない事として、アドバイスを頂いたのが
「痛みはあくまでサインであって、それを指標として追いかけるな」
という事でした。

 カイロプラクティックは痛みを100%消すことを第1の目的としてはいません。
何が原因でその痛みが起きているかを探し、その原因を改善することで、その人が持っている自己の治癒力によって症状を改善してゆく、これが目的です。

 例えば、腰痛の人がいるとします。
お辞儀をして30°の角度で痛みが出る状態だとします。
痛みの原因が腰骨のズレかもしれませんし、靭帯かもしれませんが、その原因を検査で推理し、調整をした後、お辞儀をして45°や60°の角度で痛みが出る状態になったなら、良しと考えるのです。
調整は痛みを発生させるストレスを取り除く方向に働いたのだから、残りの部分は自己の治癒力に任せていくという感じです。
諸先輩の先生方から注意とは、それをお辞儀していって手のひらが床に着くまで痛みが出ないようにしようと、症状を追いかけるとかえって悪くすることがあるという事なのです。

 話を少し変えて治り易いタイプの人、治りにくいタイプの人についてです。
私が臨床でみていると、先程の腰痛の例で言うと、調整後、お辞儀をして45°や60°の角度で痛みが出る状態になって、身体が良い方向に向かっていると直ぐに理解できる人は治りが早いようです。
多分それは自己の治癒力を無意識のうちにも直感的にイメージできるからでしょう。

 逆に痛みの出ない角度が広がっているにもかかわらず、まだ痛みがあると感じる人は治りにくいようです。
出来る事であれば“痛み”というものを不愉快なものとして、取り除くことに一生懸命になるよりも身体が発している何らかのサインと捉え、気長にでもその痛みの出る根本原因を改善してゆくように取り組みたいものです。

 そしてアロハカイロにご来院いただいているある会社経営の方の話を少々。
この方はタイプに分けると治り易い人なのですが、仕事柄多忙でどうしてもアスピリンを多用する時期もあったとの事です。
頭痛をいつも抱えて会社経営上の判断をその都度していかなければならない・・・気持ちの余裕も少なくなり、どうしようと焦る。

 ここアロハカイロで調整をお受け頂いた後は自宅まで20分近い距離を歩いて帰られるそうです。
その折には痛みも和らぎ、リラックスした状態で仕事のことを考えると、
「何でこんな簡単な解決法が今まで浮かばなかったのだろう!」
と仕事上のグッドアイデアが浮かんだりすることがあるそうです。
なので、その方にとってはここで調整を受けることは必要経費だ、と嬉しい事をおっしゃて頂いてます。
(すみません、ちょっとアロハカイロの自慢が入ってます)

 “痛み”についての解釈1つみても各人の一面が浮き彫りになったりして興味深いものです。
出来うる事なら“痛み”を上手く捉えてそれをリラックス状態にまで持ってゆく術を見つけて、グッドアイデアがポンポン出てくるような心身状態を!