2005年から2カ月に1度の頻度で来院される鎌倉市由比ガ浜在住のHさん(女性/51歳/主婦の方)聞けば今回の症状は2週間ほど前から左足に歩いて足が接地するたびに痛みがあるとのことです。
骨にひびが入っているようではないので整形外科に行くほどではなさそうだし、足の裏の皮膚に腫れや傷があるわけではないので皮膚科に行くほどではないし・・・
どこに行ったらいいんだろう?
足の裏に痛みが出る主な症状
1.足底筋膜炎
足底筋膜(筋肉などを包んでいる鞘のような組織)が、炎症を起こして痛みを発生する症状です。
【痛む場所】
土踏まずから踵にかけて
【痛む動作】
朝起きて、足をついた時に痛い
ベッドから目覚めた最初の一歩が痛みます。
かかとが地面に着いた時に痛い
歩行時にかかとが着地した瞬間にチクっとした痛みが走ります。
歩行や運動をすると痛い
特に走ったりジャンプしたり、激しい運動をした際に痛むことが多いです。
2.中足骨骨頭痛
ヒールを履いている人のほとんどが経験する痛みです。
長時間歩くとジワジワと足指の付け根の真中あたりが痛くなってきます。また、同様の場所にタコができやすくなります。
【痛む場所】
指の付け根あたり。腫れなど、見た目に分かる特徴は有りません。
【痛む動作】
最初は違和感を感じる程度だが、徐々に痛みが強くなります。つま先立ちすると痛みます。
3.モートン病
圧迫されることによって、足指の骨の間にできる神経のこぶのようなものが、歩くことでさらに圧迫されて痛むようになります。
【痛む場所】
主に中指と薬指の間が痛くなります。
【痛む動作】
歩いていてしばらくすると痛みやしびれが出ます。
他の足裏の痛みは、一定期間、足裏に負担をかけず安静にしていることで、痛みが治まる場合もありますが、モートン病の場合は痛みが継続します。上の足裏の図の位置を押すと痛みます。
1.足底筋膜炎と2.中足骨骨頭痛の原因
足のアーチの崩れが原因の1つとして挙げられます。
足のアーチの構造と機能
構造
機能
- 足の柔軟性を保つ
- ショックの吸収
- 体重負荷の分散
山道やデコボコな道に足の裏がしなやかに対応して歩けるように柔軟性を持たされています。
歩行時には片足に体重の1.2倍の重さがかかるといわれています。その接地の際のショックアブソーバーの役割を担っています。
立っている時の体重負荷は3か所に分散されます。1番負荷がかかるのが上の図の踵骨です。2番目が第1中足骨頭、3番目が第5中足骨頭です。
縦アーチ
この縦アーチが繰り返される足への衝撃で崩れて下に落ちてくると、足底腱膜が引き伸ばされ痛み、炎症を起こします。
横アーチ
この横アーチがヒールのある靴を履きながら歩行による足への負荷で崩れると、中足骨頭という箇所が下に落ち痛みを引き起こします。
Hさんの症状に対する問診
足の裏に痛みが出る主な症状のうち、今回のケースがどれに該当するのか絞り込んでゆきます。
痛みのある個所
実際、治療院内で歩いてもらうと、左足が接地するたびに痛みがあるとのとことです。
それ以外は痛みはないとの事。
きっかけまたは原因
徐々に痛くなり、何が原因かわからないとのことです。
カイロプラクティック的考察
足への負担を想像してみよう
仮に体重50kgの女性がヒールのある靴を履き、ここ鎌倉から東京まで電車通勤で職場まで通い、デスクワークもあるけれど外回りもあるというケースを考えてみましょう。
歩行時に片足にかかる重さは60kg。
1日1万歩歩いたとすると足に受ける累計衝撃は600t。
いかがでしょう?
足って身体の1番下であなたの体重を黙って支えているのですが、私がもし足なら文句の1つも言いたいところです。
なぜ片側だけに痛みが出るの?
ここからがカイロプラクティック的考察というか、アロハカイロ的考察になるのですが、今回Hさんは左足の裏に痛みがあると訴えています。
上のケースでは歩行に関しては、右足を出したら次は左足を出すという交互に足を出さなければ歩けません。
では、何故両側痛くならないのでしょう?
体重配分
先程、さりげなくと―立ちっぱなしだとすると、片足に25kgずつ体重負荷がかかり続けている―と表現したのですが、よほどバランスのとれた身体の人でない限りこういうことはありません。
利き手、利き足があるようにその人が体重をよりかけやすい荷重足というのがあるのです。
先程の例だと体重50kgの人が30kgを左足側に、20kgを右足側にかけて立っていたりします。
これは無意識の癖で意識に昇る人はほとんどいません。
Hさんのケースと見立て
Hさんは2005年から2カ月に1度の頻度で来院される、と冒頭にご説明しました。
ですから、身体の歪みに関してはかなり把握しています。
今回の左足裏の痛みに関しても、彼女は左荷重足なので、痛い箇所を問診しただけでおおよその見当がつきました。
もともと左荷重だった身体が歪みがひどくなり、より左への荷重が強くなった。
左足横アーチへの負荷がより一層強くなり、左足中足骨頭の下へのズレが強くなり痛みが出だした。
足底筋膜炎というよりは中足骨頭痛が可能性として高いでしょう。
カイロプラクティック調整
全身調整と対処療法を考えます。
全身調整
もともと左荷重だった身体が歪みがひどくなり、より左への荷重が強くなったことにより、今回の痛みが出たと考えられるので、痛い所だけ調整するのではなく、全身調整したほうがより効果的だと思われます。
具体的には、より左への荷重が強くなった身体の歪みを中心に体重配分が近づくように、骨盤と背骨のCカーブを調整します。
対症療法
左足のアーチを回復する調整を行います。
横のアーチが落ちている時は内側のアーチも落ちていますので、両方とも調整します。
最後に横のアーチを回復するためにテーピングをします。
ビフォー アフター
問診時に歩いてもらって出てた痛みがどう変わるかを検証しました。
痛みはほとんどないとの事。
後は自分でテーピングできるようテーピング法とポイントをお教えして終了です。
重要なのはなぜここ(左足裏)に痛みが出るのか、というご自身の身体の歪みの特徴を知ることです。
いかがでしょうか?
このブログの前回は「どこに原因があるのかわからない?」でした。
今回は「どこに行けばいいのかわからない?」です。
激痛というほどではないのですが、歩くたびに痛みが出て、それが何週間か続くとなると鬱陶しいですよね。
同じような症状でお悩みの方がいたとしたら、ご参考になれば幸いです。