思わず「解剖学的に○△×」というタイトルが続くようになりました。
前回、前々回にふれたように、カイロプラクティックの勉強や臨床を進めてゆくうちに、解剖学的に・・・と考えるクセのようなものが身についてしまいました。
これはやはり昔の解剖学の授業のシーン。
解剖学の先生
「では、これから実際の骨を見て、橈骨と尺骨を観察してみましょう」
そして、本当の人体骨格が出てくるのです。
その骨はアルゼンチンだかペルーだかの国から、医学教材用に輸入されたもので、ずいぶん前にそういうものが輸入できなくなった貴重品です。
当然、これからもその一体で授業を進めなければいけませんから、解剖学の先生は白い手袋をして大切そうに骨を取り出し、生徒に実物を見せてくれるのでした。
実物の骨はプラスティックの骨格模型と違って、やはり迫力があります。
実物の披見が終わると、袋に入れて、和服の着物が何着か入りそうな木箱へ収納されて、ロッカーの上に乗せられます。
その骨の主は14~5歳の少女とのことで、当時みんなはその人体骨格を「箱入り娘」と呼んでいました。
このように我々カイロプラクティックの学生は「骨格」や「骨」や「関節」に強い執着を持っています。
高校を卒業してすぐに入ってきた若い男子生徒に、触診学の先生は
「おい、Oくん、早く結婚したいなら、見合い用の写真を撮っておけ、ただし、我々カイロプラクターの見合い写真はレントゲン写真だぞ」
などとからかわれるほど、骨格に執着心が強いのです。
だから、本当の骨を教材に使ってた私たちから見ると、全身の骨格模型は精巧に出来てるけれど、やはりおもちゃです。
実際にはあんな形では存在し得ない。
仮に、死体が長年かけて白骨化して骨格模型のようになったとして、特殊な条件で関節包と靭帯が残ったとしても、下顎骨はぶら下がって入れないでしょうし、前々回の記事のように腕は胸鎖関節でしか「体幹」と関節していないので、2本の腕が長いネクタイのように胸の前でぶら下がっていることになるでしょう。
実際、全身の骨格模型は針金を色んなところに突き刺してああいう形状を保てるのです。
さて、話はガラッと変わって昔一世を風靡したジャパニーズホラーの「リング」
あれは怖い映画でした。
特に貞子がテレビから実際に飛び出してくるシーンはヤバかった。
カイロプラクティックの専門学校時代にクラスメートが「リング」が傑作なホラーだったので続作の「らせん」を見に行っていたのを覚えています。
で、専門学校時代に私もテレビでこの映画を見たのです。
最初のクライマックスはコテージの地下にある井戸を掘り出して、貞子を見つけて供養すれば呪いが解けるのではないか?ということで、タイムリミットの7時までに井戸から貞子を掘り出そうとする。
-ちょうどタイムリミットの時間に貞子が掘り出され、松嶋菜々子がかわいそうにと貞子の白骨体を抱きしめる-
というシーンがありました。
そこで大爆笑!
あり得ね~
先程、伏線を張っておいたのですが、下顎骨はちゃんとついてるし、腕の骨は肩口についている。
しかも、記憶が確かであれば、貞子であるひとつの象徴としての長い髪がしっかりついている。
その瞬間に想像は映画撮影の現場に飛んでゆきます。
美術さんがどこかの医療用器具メーカーから骨格模型を買ってきていて、多少地下に埋まっていたように色をつけている。
針金は映らないように工夫して。
ん?骨だけだと貞子とわからないんじゃないか?
美術さん
「監督!この骨だけじゃ見た瞬間に観客に貞子ということがわかりにくくありませんか?」
監督
「じゃ、どうしたらいい?」
美術さん
「髪をつけましょうか?」
監督
「おぅ!グッドアイデア!!貞子役の○○ちゃんを探してきてカツラ借りてきてよ」
こんなシーンが本当にあったかは知りません。
リアルに作りすぎてもしょうがないのはわかります。
ただ、こんなに常日頃、解剖学的には・・・な~んて考えているから、こういった秀逸な映画を見ていてもそんなことが気にかかる・・・
はぁ~自分はマニアックになってしまったな、といういくばくかの寂寥感があるのです。