最近、寝不足が続いています。
ワールドカップ開幕直前のふがいない試合をしていた日本代表が豹変し、快進撃を続けてる。
それにつられて他の国の対戦カードもついつい見てしまう、今日この頃です。

 さて、前回の「整形外科あきらめ案件」の話が続きます。
ここアロハカイロ&フットパラダイスにはその他多くのそういった(病院で改善がみられなかった)症例を訴えてこられる方が沢山います。(他の治療院でも多いんじゃないかな)

 思い出すままに書き出すと、ギックリ腰、ヘルニア、足底痛(歩くたびに足の裏が痛む)、顎関節症(これは口腔外科からですね)、寝違え、手足のしびれ、手根管症候群など等。
先週は整形外科に「五十肩」と診断されて、毎日リハビリに通うように勧められて2,3回行ったけれども、納得がいかないとご来院された方もいました。

 今回の話は今月始めに膝痛でご来院された方の話です。
その方は86歳の女性で、昔左膝を骨折していてプレートを入れたまま。
先月、転んで右膝を打撲して、徐々に痛みがひどくなり、リハビリに通っても改善がみられないとの事。

 その方が始めてご来院されたのは直接訪問でした。
(アロハカイロ&フットパラダイスでカイロプラクティックの初回の予約はほぼ95%が電話予約なのです)
私は電話中で受話器をとりながら話していた時に、後ろで大きな声が
その方「こんにちは」
私が振り向くと年配の女性が杖をついて入り口に立っています。
私が電話中である事に気がついて
その方「あぁ、電話中ね。ここで待っています」
私が用件を済ませて入り口に行くと、
その方「私は右足が痛くてね。一度診てもらえないかと思ってね」
私「どう悪いんですか?」
その方「私は耳が聞こえなくてね。全く聞こえないの。紙に書いてもらっていいかしら」

 そこから私がメモに聞きたいことを書いて、その方が答えるという半筆談形式のコミュニケーションが始まります。
これがまどろっこしい。

 それにアロハカイロ&フットパラダイスのカイロプラクティックをお受け頂いた方にはよく分かると思うのですが、施術の前も施術中もかなりコミュニケーションを多くとるのです。
問診で痛む場所はどこか、何時からか、どうすると痛むのか、きっかけは何か、など等
施術中もこの肘をこちらの方向へ息を吸いながら弱い力で動かして、そこで止めて、今度は息を吐きながら力を緩めて・・など等。
患者さんとのコミュニケーションと協調作業が必要不可欠なのです。

その手段が取れない。
半分以上、この方を施術するのは難しいな。出来ても良い結果が期待しにくいな。
と思っていたところ、
その方「私は膝が痛くて階段を登るのがきつくてね。この前やっと登ったと思ったら定休日だったの」
両膝が悪くて階段を登るのがやっとの方が、1度のみならず2階も登って来てくれて今目の前にいる、これは頑張ってやらねば!と思わされました。

 それからは言葉が聞き取れない方に対して出来る調整法を組み立てて、最低限協力して動かしてもらう事をカードに書いて、半筆談を交えながら、調整を進めてゆきました。
どうやら2回、3回と施術するたびに膝が楽になったと喜んで頂けているようです。

 振り返るとあの時、よしやろう!と引き受けさせて頂いてよかったと思っています。
全く耳の聞こえない方に対しても、こうやれば何とかできるんだ、という引き出しがひとつ増えたような気がするからです。

 治療院と患者さんの関係はまるで教師と生徒の関係のようです。
患者さんが教師で、施術者が生徒です。
そして、患者さん(教師)から症例という「課題」をもらう。
それに対してどう改善させようかと、無い知恵を絞って、時には冷や汗をかいて克服してゆく。

 以前、仲井DC(ドクターオブカイロプラクティック)のセミナーでアプライドキネシオロジーテクニックの創始者ジョージ・グッドハートDCから聞いたというセリフが思い出されます。
「神様はあなたにある症例を克服させるために、何度も同じ症例の患者を送り込んでくる。あなたはそれに立ち向かいチャレンジし技術を向上させなければいけない」
どうやら患者さんは症状と言う「課題」を持ってきて私たちを鍛えてくれているようです。