カイロプラクティックオフィスのブログなのでカイロプラクティックの話も時々しましょう(笑)
逗子在住の30歳の女性が再来院して来たのは2年ぶりのことでした。
来院の理由を聞けば、近くの(逗子かな)治療院に頭痛がひどいので行ったところ、さらに悪化したとの事。
ざっと問診で聞いた内容は以下の通りです。
頭痛は2ヵ月以上続いている。
痛むのは右の側頭部。
それから耳たぶの後ろにある筋肉の付け根も同時に痛くなり出した。
同じく右耳の耳鳴りも気になる。
さて、あなたが医療関係従事者であれば一箇所だけ問題のありそうな箇所はどこかと
考えるならどこを揚げるでしょうか?
カイロプラクターや手技関係者ならどうでしょう?
私は彼女の話を聴いた瞬間、「茎状突起」付近に問題があるだろうと予測を立てたのです。
耳たぶの後ろに三角形の様に出っ張っている骨が「乳様突起」
その前にあり耳たぶのすぐ下の骨が「下顎骨」
その間にあるのが「茎状突起」
その奥に第1頚椎の横突起があります。
私の検査前の見立ては、第1頚椎の右横突起が前方にズレて頭痛を引き起こし、
「乳様突起」から斜め下に伸びている胸鎖乳突筋が過緊張を起こして首に痛みを引き起こし、その過緊張が側頭骨を引き下げ右耳鳴りを起こしているのだろう、というものです。
案の定、触診による右胸鎖乳突筋は過緊張を引き起こし、第1頚椎の右横突起が前方にズレていました。
それを調整しすべての施術を終えた後、彼女を送り出すとき思い出したように言ったのが
「そうそう、右の耳鳴りが起きたのと同時に、右のまぶたもピクピクしてたんです。」
その時、私に思い浮かんだのが「顔面神経」
「顔面神経」を解剖学書からひも解いてみましょう。
――第Ⅶ脳神経 顔面神経は橋と延髄の境のところから発し、内耳神経と一緒に内耳道にはいり、内耳と中耳の骨壁の中を走ったのち 乳様突起の前で頭蓋骨の下面に出、耳介の前で扇状に顔面各部へ枝を広げる。
この神経は耳鼻科学で非常にしばしば問題になるものである。
顔面神経は顔面の表情筋を支配する運動神経である。――藤田恒夫 著 「入門人体解剖学」より
その模式図がこれ
左下の丸印から頭蓋骨の外に出て、顔面の表情筋へ神経を送っています。
丸印のすぐ後ろにある出っ張りが乳様突起です。
表情筋と神経の模式図はこれ
目の周りをぐるっと囲んでいるのが「眼輪筋」
顔面神経は眼輪筋に運動神経を送っているのです。
そして、この顔面神経や内耳神経が頭蓋内で腫瘍や血管の腫脹により圧迫され、問題を起こすことはよくあるのです。
今回の全体的な私の見立ては、右茎状突起付近の過緊張により第1頚椎のズレが頭痛を引き起こした。
同じくそのそばの右胸鎖乳突筋も過緊張を引き起こし、側頭骨を引き下げ乳様突起の前の
顔面神経出口付近に何らかの圧迫か干渉を与え、神経を過敏にした。
内耳神経も側頭骨の下方変位で頭蓋内で干渉を受けた。
と、いうものです。
こういうカイロプラクティック的考えがあれば、
右側頭部頭痛、右首痛、右耳鳴り、右まぶたのけいれん、は一箇所の過緊張に原因を求めます。
実際、次回来院されたとき経過を尋ねると随分改善したそうですから。
こういう知識、もしくは見立てをしてくれる人が身近にいないと・・・
頭痛は内科に行って、首痛は整形外科に行って、耳鳴りは耳鼻科、まぶたのけいれんは何科に行ったらいいのかしら?
という状態になるのかな?