カイロプラクティックとして考えたコラム

コラムカイロプラクティックとして考えると

今回のコラムは波についてです。その1は波の出来るメカニズムと波乗りの話。その2は身体の中にある波で非常にマニアックな話です。


NHKの5月4日の放送にハワイの巨大波ジョーズに波乗りで挑戦をする番組がありました。
世界中で巨大な波は起こるのですが、ハワイで起これば「ジョーズ」と呼ばれているようです。
カリフォルニアでは「ビックウェンズディ」
ここ湘南で起これば「稲村ジェーン」(笑)
さて、そのハワイの巨大波がいかにして出来るかと言うと、冬の日本の北側(アリューシャン列島)で発生する低気圧が原因だそうです。
低気圧で吹く風がさざ波をいくつも発生させます。その波は同心円に広がってゆきますが、風がない地域まで広がっても波はある所では干渉して打ち消しあい、ある所では重なり合い小さな波をいくつも吸収して大きな波へと成長していきます。
この重なり合って大きくなった波の推進力がやがて何千キロも離れたハワイに近づき、急に浅くなった海底に巨大な推進力がぶつかり盛り上がったのが「ジョーズ」と呼ばれる15メートルを超える波なのです。


番組はこの巨大な波に乗ろうとチャレンジする人の話です。
ボードは強度上げるため改造し、足を固定する器具が取り付けられています。
パドリングでは追い着かないので水上バイクに引かれて波の頂点でテイクオフ。斜面での速度は80キロを超えるそうです。
これほどの巨大な波の斜面ではなんと「こぶ」があるそうです。
それに吹っ飛ばされないように、また崩れる波頭に巻き込まれないように、まさに命懸けのチャレンジです。


初心者にとっては3~4フィート(1メートル)の波でも怖いものなんですが・・・
今「ジョーズ」と呼ばれる巨大波は、昔ハワイでは神が起こすものと考えられていました。それに乗りこなす事が勇気を示す1つの儀式であり、伝説となっていったのです。
波は昔から不思議なもので一種神聖な物と考えられていたのです。
次回は身体の中にある波についてです。むちゃくちゃマニアックな話です。[裕]



前回は太平洋を伝播して行く波のメカニズムについての話でした。
波はお互い打ち消しあったり、重なったりして大きくなり、同心円状にうねりが伝播して行く、という事でした。


今回は人の身体の中にある波についてです。
人の身体は2/3が水分で出来ています。
非常にリラックスした状態で寝ている人の頭頂部を指1本でほんの5ミリほど押しても、つま先まで身体が揺れていきます。
人の身体を膜に包まれた液体と捉え、波の出来るメカニズムを知ると、とても面白い仮説が立てられるのではと思うのです。


オステオパシーやカイロプラクティックのSOTでは身体に「第1次呼吸リズム」と呼ばれる固有のリズムがあるとされています。
これはCRI(クレニアル・リズミック・インパルス)や頭蓋仙骨リズム、サザーランド波等と呼ばれる事もあるのですが、身体の中のとても微細なリズムを指しています。
これは1分間に6~12サイクルのリズムで、呼吸とも心拍とも異なるリズムなのです。
このリズムが発生する原因は脳脊髄液の循環する動きにあるとする説や、それに加えて呼吸の動きが加わって固有のリズムが出来るとする説など色々あるのですが、理論はさておき熟練してくると確かにこのリズムを感じることが出来るようになります。


様々な臓器は固有のリズムで動いています。
代表的なものでは心臓、横隔膜、脳脊髄(これは以前6/8のコラムで触れました)そして腸。
腸の蠕動運動は太古の昔から波のリズムを刻んでいると言う鋭い洞察もあります。
これは生物がまだ原始的な腔腸動物で海で生活していた頃、食物を捕捉し消化し排泄するのに波の力を借りて管の中を通して行った名残がいまだ腸に刻まれている、という考えです。


さて、ここで波の出来るメカニズムを見ていてひらめいたのがこれら各臓器の動きがそれぞれ体内という水の中で波となり、あるものは打ち消しあい、あるものは重なり合って同心円状に広がってできたのが「第1次呼吸リズム」と呼ばれる固有のリズムではないかという考えです。
なぜこれほどに私が「第1次呼吸リズム」にこだわるのかと不思議に思われるでしょうが、このリズムを整える事で劇的に症状が変わる人を過去に見てきているからです。(大先輩の先生の治療であったり、ささやかながら自分の治療であったりするのですが)そして、この腹の奥から起こる同心円状の波は他の療法でも起こっているのではないかと思うのです。
呼吸法や鍼や経絡やその他色々な療法で・・
身体の中でバランスがとれて起こるこの波は、片岡義男の小説的な表現を借りれば、身体の中に「海を呼び戻す」事になると思うのです。
すみません。今回はとてもマニアックな内容でした。[裕]


今から20年近く前、大阪の地下街に大きな看板がありました。
占いのキャッチコピーをもじった内容で「黙って座れば、ぴたりとモテル」と言う文句です。
出してたお店は確かキャバレーだったと思います。
さすが大阪、ひねりが効いてるな、と感心したものです。
今回はそれをもじって「黙って寝れば、ぴたりと当たる」という話です(笑)。


うつ伏せに寝ている患者さんの背中をすーっと一撫でして、なにか格闘技系のスポーツをしていましたかと聞くと、当たったのか何で分かるんですか、と驚かれる事があります。
何をみているかというと、背骨の彎曲です。
背骨は横から見てアルファベットのS字状にカーブしています。首は前に、胸は後ろにそして腰は前にという具合です。
私の経験から見ると、カーブの強い人は積極的で、行動的、好戦的な性格が多いようです。
カーブの弱い人は慎重で、思慮深く、争いを避ける性格が多いようです。よく腰が引けてる、等と表現しますが実際、会社の中間管理職でリスクを極力背負わないように頑張らなければいけない立場の人は腰が後ろにカーブ(通常と逆)している人が多いんです。
そういう背骨のカーブと性格の兼ね合いから、この人のカーブは強く好戦的で格闘技系では?という推理が成り立つのです。


そう言うお前はどうかって?自分の背中をうつ伏せに寝て触れないもんですから、推測なんですが自分の性格から推測すると、慎重で、思慮深く、平和主義なんで彎曲は弱いカーブではないかと・・・
次回は好戦的な人々が一番多いであろう業界、その筋の方々の彎曲はどうか?と言う話です。[裕]


以前は遠めにしか見たことの無かったその筋の方々なんですが、この業界に入って数多く身体をみさせて頂く機会が増えました。数えているわけではないので正確には分からないのですが、今まで身体をみた数は50人以上で100人以下といったところでしょうか。
最初は入れ墨の背中を触れるのはドキドキものでしたが、話してみると意外と気さくな人が多いという事が分かりずいぶんと馴れてきました。しかし、足の甲までびっしりと入れ墨のある気合の入った人なんかは今でも緊張します。


今回の話は好戦的な彼らの彎曲はどうか?という話ですが、彎曲のカーブが強い割合が非常に高いのです。
特に胸椎の後彎が強いのです。実はそういう人達を数多く触ってみて共通点が多い事からカーブの強い人は好戦的な性格が多いのでは?という考えに至ったのです。
例外もあります。腰が後ろに曲がっている人達もいるのです。(前回の話ではリスクを避ける管理職等)
そういう人達にもある共通点があります。指を詰めているか、開腹の手術をしているという点です。
責任を取って自分で自分の指を切断する、という行為はすさまじくストレスのかかる事だと思います。
そういうトラウマが以降、メンツを守りつつリスクを避けるという素人には想像のつかないストレスとなり背骨の配列まで短期間に変えてしまったのでは?などと推理しているのです。
想像もつかないほどの大きなストレスが背骨の並びをも変える、というのはSF的に過ぎると感じるでしょうか?


それはさておき、彎曲のカーブと性格のほうはかなりの確率で合致すると思います。
結婚を間近に控えてる男性はデートの折にでもさりげなく彼女の背中を一撫でしてみましょう。
女性が彎曲が強くてあなたの彎曲が平らだと将来尻に敷かれることは請け合いです。
我が家はどうかって?そんな事怖くて...ノーコメントです。[裕]


カイロプラクティックの施術をするにあたって、視診というのは重要です。
検査の時の姿勢の歪みを把握することが次の段階の触診に役立つからです。
ただ、検査の時だけ視診をしているわけではないのです。
具体的にはオフィスに入って来た時の歩き方、座るときの軸足はどうか、座った時の膝の位置、体重配分、カルテを書く時の利き手、ベットに寝る時にどう移動するか、寝返りを打つときの回り方、施術前と後の表情etc
右足に荷重をかける人には座るときの足の運び方、座ってからの身体のねじれ方、寝返りを打つときの回り方、等にかなり共通する使い方があるのです。
これは検査時間の短縮にもつながりますし、イレギュラーなケースに出会った時に、なぜそうなっているのかを精査してゆくことが出来ます。


さて、あなたは治療院に行って、初回訪問時に施術者から突き刺すようなあるいは食い入るような視線を浴びて、困惑したことは無いでしょうか?
その施術者は目の前にいる患者さんから見て得られる身体の情報を集めようと必死なのです。
もしあなたが女性で美人であったとしても、そのことに興味を持ってジロジロ見ているわけではないのです。(・・・たぶん)[裕]


【normal】は普通の、典型的な、という意味で【distortion】は普通の英語では変形という意味ですが、カイロプラクティック業界では歪みを意味します。ノーマルディストーションというのは私の造語です。
今回は臨床で数多くみてきたよくある身体の歪みのパターンについての私の雑感を何回かに分けて。


臨床で数多くの患者さんの身体をみてくると、ある一定のパターンで身体が歪んでいるんではないか、という疑問が浮かんできています。
具体的な例を挙げると、立った姿勢で左足を前に、右足を後ろにして身体を左に捻る動きとその逆(右足を前に、左足を後ろにして身体を右に捻る)では前者のほうがやりやすい人が多い。
このポーズ日常で身に覚えがないでしょうか?
自転車に乗る直前こういうポーズのはずです。他には掃除機をかける時こういうポーズなのではないでしょうか?
サーフィンではこの左前足、右後ろ足のポーズをレギュラースタンスといい、ほとんどの人がこのスタンスです。ちなみにその逆はグーフィースタンスといい数少ないのです。
左足が前で右足が後ろの身体の使い方が多い理由は、荷重足と利き足が多くの人で右足だからではないかと思うのです。


荷重足(体重支持足)を後ろに配置して、荷重足=利き足で第一歩を踏み出すほうが敏捷に動けるから、自然とそのスタンスをとってしまうのではないでしょうか。
サッカーボールを軽く蹴るときの動きを思い浮かべてみると、一旦体重を後ろ足に乗せ利き足を使ってボールを蹴ります。
階段を昇る時、第一歩は利き足から出されることが多いと思います。多くの人では利き足は右ではないでしょうか?


以降、左足が前で右足が後ろのスタンスをレギュラースタンスといい、これが多いものとして話を進めます。
この身体の「クセ」は歪みとしては股関節に影響を大きく及ぼすであろうと考えています。 
左股関節は外捻れに、右股関節は内捻れにという具合にです。
仰向けに寝ている時、自分の足のつま先を見て片側が大きく外捻れをしているな~と気になった人はいないでしょうか?
ところが、イスなりベッドなりに座って、身体を捻った場合、立って捻った時と逆の方が捻りやすいという逆転現象がおきるのです。
それはなぜか?・・・は次回です。[裕]


前回は左前足、右後ろ足のポーズをレギュラースタンスといい、荷重足と利き足が多くの人で右足ということでした。そして、イスなりベッドなりに座って、身体を捻った場合、立って捻った時と逆の方が捻りやすいという逆転現象がおきるのは、なぜか?ということでした。


これは骨盤の捻れの影響が大きいようです。
ふくらはぎから太もも、お尻、腰、背中と荷重足側の筋肉の緊張が強い場合が多いのです。
しかも、骨盤のところではこのサイトのカイロプラクティック編の「姿勢は重要」という項でも触れているのですが、荷重足側の殿筋が緊張を強いられ、右の骨盤を後方・外方に捻るケースが多いようです。
したがって骨盤全体は右捻れを起こします。だから、座って股関節の動きの関与がなくなると、骨盤と背骨の捻れの影響を大きく受けて、上半身は右に捻りやすい、ということが起こってくるのだと思います。
ところが、ところがなのですが、首はまた上半身と逆の方向へ向きやすいのです。
上半身が右に捻りやすいなら、首は左に向きやすい、という具合にです。
恐らく、私の考えでは歩行の動きが関与しているのではないかと思っています。
歩く時の身体の動きを思い出してみて欲しいのですが、上半身を右に捻っている時は、顔は相対的に左に捻っているでしょう?


こういった一連の歪みのパターンを私の造語でノーマルディストーションと呼んでいます。
アロハカイロの初回の検査では立位での姿勢や身体の可動域検査でこの典型的な歪みのパターンを考慮に入れてみていってます。
そのパターンから外れる結果が出てきた時は...ん?要注意!
普通の捻れよりもう1つ複雑な歪みを持っているかも?などと考えたりしているのです。
(検査中私がう~んなどと唸っていてもあんまり気にしないで下さい。実は検査中はこんなことを考えたりしていたのです)
私の臨床経験では8割から9割の人が右利き足で右荷重足のようです。
これは利き手との関連もあるだろうと推測できます。
この利き手利き足ができる仕組みはまた次回。[裕]


今回は利き手、利き足ができる仕組みについてです。
専門用語がどうしても避けられない話なのですが、どうかお許し下さい。
なぜ利き手と利き足ができるかというと、結論から言うと、遺伝により右脳か左脳のどちらかが優位になるからです。
右利きは左脳(言語や計算を司る脳)優位で、左利きは右脳(感性や直感を司る脳)優位ということになります。
ここで乳幼児期の脳の発達過程を少々説明させてください。


生後16週目ぐらいまでの時期は『脊髄』と『延髄』という生命活動に不可欠な(呼吸、循環に関する中枢)原始的な脳がまず発達します。


生後16週→6ヶ月の時期は延髄の上にある『橋』(きょうと読みます)という部分が発達します。この時期は視覚と聴覚が片側だけ発達します。(だからこの時期は音や映像をはっきりとは認識できていないのでしょう)


6ヶ月→1歳の時期は橋の上の『中脳』という姿勢や眼球運動に関与する場所が発達します。この時期がハイハイをする時期にあたり、中脳の発達で両手両足を同時に動かすことができるのです。


1歳→5歳の時期は初期の大脳皮質が発達する時期です。この時期も本来は両側均等に発達する時期なのです。


3歳→8歳の時期は左右の脳の優位性が出来上がってくる時期です。
優位性が出来上がる順番は手→目→足→耳です。
ちなみに、片側だけの優位性は人類特有のものだそうです。(イヌやネコにはないらしい・・・?)
ということは、2足歩行が関係するのか、生活環境が関係するのか?
乳幼児期の発達に妨害を受けると優位性が変わることから、後者のような気がしますが確かなことは分かりません。


さて、ここからがこのコラムの本題です。
利き手が右ならその人は左脳優位で目も足も耳も同側の右優位のはずです。(実際そういう人が圧倒的に多いのです)
しかし、利き手が右で利き目が左という具合に優位な側が混在する人もいるのです。
ある研究で軍人を対象に調査したところ、この混在型は15%もいたそうです。
そういう人達はそうでない人達に比べて規定の軍事練習を完了するまでにより多くの時間と指導が必要だったそうです。
確かに臨床の場でみていても、この利き手と利き足が左右異なるタイプの人は調整が難しい印象があります。
では、自分の利き目、利き足、利き耳を知る方法は?また、左右の優位性が混在してしまう原因は・・・次回ということでよろしくお願いします。[裕]


前回は乳幼児期の下位の脳から高次の脳へ発達してゆく過程と、利き手などの優位性が左右混在する話でした。
今回はまず利き目などの自己診断法について。


利き目の検査法はまずまっすぐ正面に両手を伸ばして両手の人差し指と親指の先をつけて直径10センチほどの輪を作ります。何メートルか先にある目標物(壁の模様の1点など)を手で作った輪の中心に位置するようにして、徐々に輪を小さくしてゆき、直径2センチほどにします。このとき片目ずつつぶって目標物が輪の中に見える側が利き目となります。(厳密には遠位の利き目と近位の効き目がありますが省略)


利き足はボールを蹴る足や階段に上がるときの踏み出し足となります。
利き耳は時計などの小さな音が出るものを聞き取ろうとするときの側の耳になります。
いかがでしょうか?


利き手が右の方は他も全て右が優位になったでしょうか?混在した方も中にはいらっしゃったことと思います。
この混在は乳幼児期の脳の発達過程で何らかの強制力が働いた可能性もあるのです。
例えば授乳時、乳児の頭がいつも左胸側にある抱き方をしていると乳児はいつも右側の手、目、足が制限されることとなります。またハイハイは中脳の発達時期に欠かせない運動で、この発達が十分に整ってから立ち上がり歩くことができるのです。
「うちの子は歩き出すのがヨソの子より遅い」などと焦って早くに歩行を強制させられたりすることも原因となり得ます。


離乳食時に一側優位性が出来上がる前に片側での(特に右)スプーンを持たせるような強制も時期尚早だと両側の大脳皮質の機能発達に影響を及ぼします。
このような本人の自発的な脳の機能発達にそぐわない形の強制は利き手などの優位性を混在させる原因となり得るのです。
特に左利きの幼児は強制の憂き目に遭う確率が今でも高そうです。
左利きは右脳優位でスポーツや芸術で天才を輩出する確率が高く、また、脳梁が太くバランス感覚に優れています。


ここでOリングテスト(コラム2002年☆Oリングテスト1~3☆をご参照下さい)を使った右脳と左脳の優位性の検査法をご紹介します。
Oリングテストは輪が開けば陽性、閉じたままだと陰性という筋反射を使った検査法です。
Oリングテスト実施直前に簡単な計算問題を出されて輪が開けば左脳が弱くて右脳優位。
Oリングテスト実施直前にハミングをしてもらって輪が開けば右脳が弱くて左脳優位ということになります。
以前いた治療院で雑談の折、このテストの話が出て何人かのスタッフがやって欲しいということになりました。
そこである人の時、何でもいいからハミングを口ずさんでくださいと私が言うと、治療院中に響き渡るほどの大きな声で歌ったのが、軍艦マーチ!
爆笑で検査は出来ませんでした。


さて、本題に戻って私の臨床所見では右手優位、右足優位の使い方によるノーマルディストーションがパターンとして出来つつあります。これに対して、パターンを外れる人には要注意をしています。過去に事故等で怪我をしていたり、大きな病気で手術をしていたり・・・でもこの優位性の混在タイプも多いようなのです。
前回のコラムでも触れている通り、5歳くらいまでは脳の発達過程で両側の機能が発達する時期です。
この時期に無理な強制は極力少なくして欲しいと思うのです。[裕]


今回は記憶に関しての話です。
さて、あなたはこのWebサイトのこのコラムの所にお立ち寄り頂くまでどんな過程で辿り着いたでしょうか?
初めての方や複数回訪問してくれている方で若干の違いがあること思います。


さぁ、インターネットでも見よう→歩いてPCへ近づく→座る→スイッチを入れる→キーボードを叩く→サーチエンジンである「単語」を入力する→「おぉ、あったあった!ん?なんだ~まだ更新されてないじゃない。この頃サボリ気味ねー」etc・・・


この一連の動作にも様々な記憶が介在しています。
PCへ近づいて座るという行為にも部屋の中とPCの位置関係を把握している空間記憶がありますし、歩いて座ると言う行為にも手順記憶(ハイハイから歩けるようになる時に学習した記憶)が関与しています。
このように一連の行為にも様々な記憶を駆使しながらヒトは行動しているのですが、この記憶というものにはいくつもの種類があるのです。
そして、記憶の種類によって保管される場所が違うのです。


ここで記憶の仕組みを簡単に説明すると、ヒトは意識下、無意識下で膨大な情報に接しています。
その意識にのぼる情報のほんの1%程度が感覚性記憶として取り込まれ、さらにその一部が言葉に読みかえられて一時記憶になります。この記憶の寿命は数秒と言われています。
この一時記憶のある部分が二次記憶として残され、残った記憶も常に取捨選択されていきます。
この二次記憶は数分から数年間持続します。この二次記憶の中で繰り返し使われるものが(自分の名前など)ほぼ一生涯記憶できるものとなり、これを三次記憶と言います。二次記憶と三次記憶を合わせて長期記憶というのですが、この記憶の保管場所の1つに大脳の側頭葉の下にある海馬という場所があります。海馬は記憶のとって一番重要な器官でここが損傷を受けると新しいことは全く記憶できなくなるのです。
側頭葉の新皮質にも先程述べた長期記憶が収められていますし、前頭葉の新皮質では色々な記憶の統合が行われ1つのイメージを浮かべさせるところです。
大脳の被殻は先程出た手順記憶に関与をしています。扁桃体では恐怖などの強い感情の記憶が保存されています。尾状核では本能の記憶が保管されていると言われています。


長々と述べてきましたが、要は記憶の種類によって大脳の保管場所が異なると言うこと。
そして、脳はその保管場所から必要な情報を瞬時に引き出し、統合し、命令を駆使することを常に行っているのです。(奇跡的だ!)
今まではこの記憶の保管場所が脳にあるというのが定説だったのですが、脳以外の場所に記憶の保管場所があるのでは?という異説が出てきました。
それは次回。[裕]


さて今回は前回からの続きで、記憶の保管場所は脳だけではない?!と言う話です。
言いたかった事をもう少し正確に表現すると、記憶を呼び覚ます誘発要因や情動の引き金になる場所が脳以外にもあるのではないかと言う事なのです。
その代表的な例が内臓器で、肝臓です。
肝臓に情動の誘発要因があるのでは、と考えられたきっかけは実は臓器移植なのです。
この臓器移植を受けた(他人から肝臓の臓器提供をしてもらった)患者さんが自分が自分でない感覚を持つそうです。
肝臓は脳内物質セロトニンの元となる材料を作っていますし、性ホルモンの元になるDHEAという物質も分解をしていて、脳内での意識、性欲、睡眠などに大きく影響を及ぼしています。また、記憶に関与する物質も肝臓で合成されているのです。
そういった観点から見ると、脳に収められている情報だけではなく内臓器の情報が情動や記憶に関与していると考えられるかもしれません。


アンドルー・ワイルがその著書の中で師と仰いだオステオパシー医ロバート・フルフォード博士もお腹に情動の中枢があるとしてます。
その場所は太陽神経叢(腹腔神経叢)
腹腔全ての臓器に向けて放射状に伸びていて動きをコントロールしている神経の集まりのような箇所になります。
英語で「ガット・フィーリング」(腹の底からくる感じ)はまさにその太陽神経叢からくるものだ、との事。


さて、ここからは臨床での話となります。
アロハカイロでは初回の時に問診表に健康状態や過去の病歴をご記入頂いています。
問診で過去の怪我に関しては何十年前のことであろうとも執拗にお聞きすることにしています。
でも、それはあくまでも脳に収められていてアウトプットしやすい長期記憶のようです。
臨床の場で調整している時にたまに忘れていたような過去の怪我を思い出していただく場合があります。
例えば、ポジショナル・リリースというテクニックがあるのですが、これはある場所に押すと痛みがあるとします。その痛い場所押しながら、患者さんに痛みが消える姿勢になるまで色んな体勢をとってもらいます。その体勢でじっとしていてもらうのですが、そのときに患者さんが


「そういえば、問診のときには全然思い出さなかったのですが、今この体勢になって思い出したのですけど・・ン年前にまさに今押さえられているところを打撲したんです。その時の体勢が今とっている体勢なんです!!」


などという不思議なこともあるのです。
こういうことに良く出くわすと、記憶とは脳だけにあるものではなく身体のいたるところに収められているのでは?という印象を持ってしまうのです。
さて、あなたはこの話を科学的な根拠のないオカルト話だ、と思うでしょうか?[裕]


前々回のように実際に看板を担いでギックリ背中になったという話ではありません。
治療院として看板を掲げていてそれに恥じないように頑張るという話です。
今回は30歳代後半の女性の患者さんで、現在進行中の話です。
彼女の来院されたときの主な症状は腰痛でした。過去整形外科でのMRIでの検査結果は腰椎の椎間板が減少していてほとんど無い状態に近いとのこと。
痺れは無いのですが、常に鈍痛があり長時間歩くと急に辛くなりうずくまってしまうそうです。
過去整形外科、治療院、接骨院等など色んな所に行ったけれど芳しい結果が得られなかったと、初回の問診時に仰っていました。


さて、彼女には数多くのスポーツの趣味があり、その中でもフリークライミングがとりわけ好きなようです。
彼女の最終的な目標としてはこの腰痛を気にせずフリークライミングが存分に出来るようになることです。
初回の調整が終わった時点で私と彼女との話で、まず歩いていてもうずくまったりしない状態にすること、それから、腰痛を緩和させてゆくこと、そして、様子を見てフリークライミングをしても腰に負荷がかからないような状態に持ってゆくこと、が共通の目標(調整の指針)となったのです。
施術者としての私の立場からは、彼女は背骨の彎曲(横から見たS字カーブ)が強いタイプなので、まず、腰の彎曲を減らすことが目標になります。
患者としての彼女には、今までヨソで腹筋を鍛えろと言われてひたすら鍛え上げた硬く短縮した腹筋を逆に休めてもらうことにしました。


5回の調整を終え、ある程度腰に対する目途がついた時点で次からはフリークライミングをしても腰に負荷がかからないよう、胸の部分の彎曲を減らしてゆこうという話になりました。
その折彼女が帰る間際に言った言葉が印象に残ったのです。
「病院では今の腰痛は手の施しようがない。それにあなたの腰ではフリークライミングのような運動は永久に止めたほうがいい、と言われました。でも、どうしてもフリークライミングをしたいんです!よろしくお願いします。」
こういうセリフを聞くと俄然気合が入ります。
ヨソでダメでもウチで何とかできないものか!
せっかく看板を掲げているのですから。それなりの格好のつく仕事をしたいものですから。
それで今回はこんなタイトルでコラムを書いてみました。
くれぐれも実際に看板を担いでギックリ背中になったという話ではありません(笑)[裕]


いやぁ~早いもので、前回のコラムから2週間近く経ってしまいました。
この5月は意外と忙しく更新がなかなか出来ませんでした。(などと言い訳から入ってしまい恐縮です)
なぜ忙しかったかというと本業が忙しかったのです。(地引網だのBBQなどのイベントが忙しかったのではありません。念のため)
で、なぜ本業が忙しかったのかというと天候が悪かったという要因があるかもしれません。
今年の5月の天候はゴールデンウィークの後半から下旬まで晴れれば夏日、雲が出れば最高気温が
16~8度とまさに日替わりで寒暖の差が激しい天候でした。
それにより体調を崩される方が多かったように思われます。
その不調の中で先月は特にギックリ腰の方が多かったのです。


このギックリ腰と異常な天候は大いに関係があると私は考えています。
通常、体内の水分や塩分の調整は腎臓がしています。ただし、もう1つ水分、塩分調整に重要な役割をしている器官があります。それは汗腺です。
夏日のように暑い日は大量の汗をかきます。そうすると腎臓の水分、塩分調整は頑張って働かなくともすみます。が、しかし、汗をかかなくなると汗腺からの水分・塩分の排泄量が減るので、腎臓は頑張って働かなくてはいけません。
こういった気候の変動が緩やかに進んでくれれば問題はないのでしょうが、日替わりで暑い日と涼しい日が来るとたまったものではありません。


そして、カイロプラクティック的な考えとしては内臓器の疲労はそれを包んでいる膜を通して伝播すると考えられています。伝播する先は・・・腎臓のすぐ後ろにある大腰筋。
実際ハワイの解剖実習でお腹の中の構造を見てきたのですが、腎臓と大腰筋は密接に膜を絡めあいながら、並んでいるお隣さんの関係なのです。
そして、大腰筋の主な働きはお辞儀するように身体を前屈させること。大腰筋に負荷をかけ続け、あるとき身体を曲げようとしたら、『ギクッ!』
ギックリ腰をやった人の話でよく聞くシーンではありませんか。
さて、臨床の場ではこのギックリ腰が起きやすい時期があります。それが梅雨の時期と秋口。
体内水分の調整量が急激に変わる時期に多いようです。まもなく梅雨の季節。腰に不安のある方はお気をつけを![裕]


つい先日のことですが全米オープン開幕前に日本人プレーヤーとして優勝が期待できる人として、丸山茂樹選手のことが夜の『報道ステーション』で取り上げられていました。
丸山選手は2003年は絶不調だったらしく、その原因を今年どういう風に克服し、好調を維持し2004年の今大会に望むのかという内容でした。
不調の原因は飛距離を叩き出す為に、バックスイングの軌道を大きく取るフォームをやっていたそうですが、このフォームでは本人の柔軟性があるために首が大きく捻れてしまい、首にかなりの負荷がかかってしまっていたことのようです。
その負荷が2003年に首への痛みとなり、成績不振に陥ったそうなのです。
本人によると痛くて首が右に向けない。首の中で何かギターの弦のようなものがはじかれるような痛みがあるとのコメント。
そこへ番組のナレーションが入ります。


-首の不調に対する適切な処置法が無い-


夕食後の団欒でこの番組を見ていた我が家では夫婦そろって突っ込みを入れます・・・
「カイロがあるじゃないか-!」
番組はその後、どう克服してゆくかの説明になってゆきます。
まずはスイングの改善です。後ろへ大きく腕を回すスイングを止め、コンパクトなものに変える。
そして、出てきました!カイロプラクティック。
アメリカ(?)でカイロプラクティックを受けているシーンが出てきます。(なぜか首ではなく骨盤付近の筋肉をグリグリやられて丸山選手が悶絶しているシーンでしたが・・・)
昨年不調だった丸山選手がスイングの改善と共にカイロプラクティックを受けることで、今年は優勝争いをするまで回復するとは!
カイロプラクティックの良い宣伝になったね~と我が家では大満足でした。


今回は残念ながら4位でしたが、今後是非とも丸山選手には優勝して欲しいなと思います。
他にも確か私の記憶では、プロ野球の下柳選手や松井稼頭央選手もカイロプラクティックを重用していただいていたと思います。
身体が資本であるトップアスリートがその効用を認めてくれる。
これほど業界にとって宣伝となることはありません。
誰か漢(おとこ)清原を治療して、劇的に回復させてくれないかな~と思う今日この頃です。[裕]


今回は女性であれば誰しも一度は履いた経験のあるハイヒールの靴の話です。
ヒールの高さ4cm以上をハイヒールとここでは定義して、さて、あなたは何歳頃からそういった靴を履きだしたでしょうか?
現在も履いているなら通算何年履いているでしょうか、そして履く頻度は週に4回?5回?
意地悪じゃないのですが、ハイヒールの靴が身体にとって悪影響の可能性があることをこれから話してゆきます。


まずは計算しやすいようにケースモデルの前提条件を身長160cm、足のサイズ23cm、5cmのヒールの靴とします。



身長160cmの直立不動のマネキンを想像してみてください。(ケンタッキーフライドチキンのカーネルおじさんでもいいです)
その踵の部分に5cmの棒をつっかえ棒のようにかませると、上体は前に傾きます。
当然足底は斜めの角度を持ち傾きます。
斜辺が23cm。高さが5cmの三角形で構成される角度です。
では、前傾することで頭の部分(頭頂部)がどれだけ前へ移動するかというと相似形の三角形の比例の問題であるので算数レベルは省略するとして、なんとナント約35cmも前方へ移動するのです。(これはマネキンでの話)


では、5cmヒールを履いている世の中の女性が皆35cmも頭を突き出して立っているかというと、立っていません。(笑)
身体の中の様々なメカニズムが働いて頭を元の直立姿勢の位置まで戻しているのです。
(今回のマネキンの例では頭を35cm後方へ引いているということ)
身体の中で働く様々なメカニズムに姿勢反射や立ち直り反射などがあるのですが、もう1つマグネット反応というものがあります。
次回はこの反応の少し詳しい話を少々。
そして結論は身体にとってあんまり良くないよ~という結びになります。(よくこのコラムをご覧の方にはもうバレバレだと思いますが・・・)
ということで以降はまた次回に。[裕]


さて今回は前回からの続きでマグネット反応の話です。
マグネット反応とは生理学者が頭部を切断された実験動物の足裏をある方向に圧迫し、手を離したところまるで磁石のように実験者の手に引き寄せられたところから『マグネット反応』と呼ばれるようになったのです。
例えば足の裏の外側を指で頭の方向へ押してゆくと、その圧迫を押し戻す方向へ足が動くことでバランスを取るのです。
特に二足動物ではバランスを取るためにこの反応がより増幅される結果となるのです。


身体が直立位(真直ぐ立つ姿勢)から左へ傾いたケースを考えます。
真直ぐ立つ姿勢で両踵のくっつく点~股間~へそ~鼻~頭頂までを結ぶ線を正中線といいます。
身体全体が左に傾くと左の股関節は正中線から外へスライドすることになります。
右の股関節正中線に向けて内へスライドすることになります。
左の足関節は正中線から外へ傾き、右の足関節は正中線から内へ傾くことになります。
この身体の傾きは筋、関節、皮膚受容器に対する刺激となり、姿勢を戻すため(倒れないため)以下のような反応を起こします。


左の足関節は外へ倒れているのを正中線へ戻すための筋肉が働く。(左足の内反筋群の促進)
右の足関節は内へ倒れているのを正中線へ戻すための筋肉が働く。(右足の腓骨筋群の促進)
左の股関節は外へスライドしているのを正中線へ戻すための筋肉が働く。(左中殿筋と大腿筋膜張筋)
右の股関節は内へスライドしているのを正中線へ戻すための筋肉が働く。(右内転筋群)


このような筋肉群が活動し傾きを正常な位置へ戻す働きがあるのです。
冒頭の話に戻ります。
実験動物は頭部を切除されていたことからもわかる通り、この反応は無意識に働くものなのです。
さて次回は本題のハイヒールについての話です。[裕]


前々回は5cmのヒールを履いた際、マネキンの様な生き物でない場合頭部が約35cm前方へ移動するということでした。そして、前回は身体が傾いたとき動物にはマグネット反応というものがあり、傾きを元に戻してゆくメカニズムがあるということでした。
この反応はくどいようですが無意識に働くものなのです。
ということは身体の傾きを戻すために今この筋肉が頑張ってくれているんだな~とは意識されない→ついついいつも同じ筋肉を酷使する可能性があると言えます。


さて、前回と前々回の話から5cmのヒールのある靴を履いていると、頭を35cm後方に引き続けるための力が働くことになります。
どこで働くのでしょうか?一番がんばって働くと思われるのが足の関節(爪先立ちのような状態)、膝の関節(軽く膝を曲げた状態)股関節(骨盤を前傾させる)等です。ただし、直立の姿勢から頭を(身体全体を)後ろに反らせるときの状態を思い浮かべて欲しいのですが、上半身も身体を反らせるのに関与しています。
特に腰と首は背骨のS字カーブで前に反っていますから、そのカーブは強まります。
ヒールのある靴を履いていることは常に足の関節を爪先立ちのような状態にし、腰と首のカーブを強めた姿勢を取り続けることになるのです。


ここ鎌倉から東京へ通勤されている方もかなり多いようです。
横須賀線を使って約1時間。その間ラッシュで立ちっ放しということになると、1時間上記のような負担を身体に与え続けることになります。
往復なら2時間。週5日勤務なら合計10時間。
背骨のS字カーブが強いタイプの方なら腰に負担がかかり腰痛の原因になる可能性もあります。
また、常に爪先立ちの姿勢を取るということはふくらはぎの筋肉を短縮させることになり、血行を悪くし足先の冷えの原因にもなるでしょう。


スタイル良く見えるメリットもあるのですがこういった身体に対するデメリットも考えられるのです。
でも仕事の性質上どうしても履かなければいけない!という方もいると思います。
そういった方には1日の終わりに脚の裏側を伸ばすストレッチをやっていただきたいと思います。
両足を前に投げ出して座り身体を前屈させて両手で爪先をつかむ、例のアレで十分です。
でも一番いいのはヒールは低めの靴を選ぶ事だと思います。
したがって、アロハカイロ&フットパラダイスでは特別の事情がない限りオーダーシューズではヒールを3.5cmまでとさせていただいてます。
履き心地と同時に身体全体のことを考えての判断なのです。[裕]


年も明けて今年は2006年。
今回の話は私がカイロプラクティックの勉強をしていた20世紀も終わろうかという学生の頃の話です。
私がカイロプラクティックの勉強をしたのは池袋にある専門学校です。
その学校は全日制で3年間。
授業は月曜日から金曜日まで。午前9時30分から始まり、昼に1時間の休憩があり午後4時に終了です。


当時のカリキュラムは午前中は主に実技。これを3年間通してです。
(カイロプラクティックにおいての実技は触診と各種テクニックの練習です)
そして午後は基礎医学(解剖、生理、病理、臨床、薬理、衛生、関係法規等)を2年間通してです。
このカリキュラムと年間の授業構成を見ていただくと、会社勤めをしながら残業のない日に夜にチョコチョコ授業を受けてゆくスクールや週末ごとに授業を受けて何ヶ月コースでOK!というものではないのがお分かりいただけるかと思います。


その学校に通うためには、会社を辞めなければならない・・・
その当時の私にとってはかなり思い切った決断をしたものだと、振り返って思います。
さて、築40年を超えるアパートに転居して、会社を退職して当座の生活費(2~3か月分)を除くと預金、退職金、保険などの解約金などを全部合わせても3年間の学費にずいぶん足りない。
それからは昼は学生、夕方からは治療院勤めの生活に入ります。
夫婦2人で共働きをしていても辞めた会社で得ていた年収の半分以下という収入状況に。
当然、「超」がつく節約生活になります。


そこで、私が月→金の昼に食べてた食事がご飯と玉子焼きと納豆。(それが1番安上がりで栄養もありそうだったから)
来る日も来る日も1年半ほど毎日その食事でした。
我ながら飽きもきて自嘲気味にその食事を「黄色い食事」と呼んでいたのですが、それでずいぶん食費は助かりました。
では、そんな生活を悲観的に過ごしていたかというとそうではなく、あっけらかんと楽しみながら過ごしていたのです。
たとえばティッシュ。クリネックスやネピア等5箱で3~400円で売ってるあのティッシュですらもったいなくて、無くなると二人で池袋のサンシャイン周辺をぐるりと散歩に出るのです。
で、今日は一周で戦利品のポケットティッシュをいくつ貰えた!な-んていうことをしてゲーム感覚で節約生活をやってみる。
そんな毎日でした。
(その当時は将来の展望として鎌倉で開業するという夢があったから頑張れたのかもしれません)


お蔭様で昨年の暮れは寒い時期にもかかわらず、比較的忙しく昼の空き時間に急いで自宅へ帰り手早く食事を済ませなければいけない日が多かったのです。
そんなある日に食べた食事がご飯と玉子焼きと納豆。
食費の節約ではなく、時間の節約のために摂ったのですが、あの頃が思い出されて懐かしく今年はじめのコラムに書かさせて頂きました。
修行時代の苦労を四の五の言ってますが、今でも急がなきゃいけないときにその食事をチョイスしているのですから、私はやっぱり卵と納豆が好きなのかもしれません。[裕]



前回は私の2回目の学生生活でいかに節約をしてきたかという恥を晒すような話でした。
ただ、そんな生活の中でも積極的にお金を使っていった物があります。
それは、カイロプラクティックのセミナーと手技関連の技術書です。
例えば私が受講したカイロプラクティックのセミナーは10回シリーズを1クールで月1回第○週の日曜日に開催。
1回の受講料が学割で1万円、などというものです。
また、手技関連の技術書も一般書とは違い割り高で1冊7千~1万5千円ぐらい。
池袋の手技関連専門書店で買うべきか見送るべきかで何時間も比較検討していた覚えがあります。
(書店の人から見たらいい迷惑だったろうな)
前回のように「超」節約生活をしていながら、セミナーや技術書にお金をかけていたのは
『このセミナーを受ければもっと技術が上がるかもしれない』
『この本を読めば、いいヒントに巡り会うかもしれない』
等など少しでも良いレベルの施術を身につけたい、という切実な気持ちがあったからに違いありません。


私が所属する協会にはもっと真摯に取り組んでいる先生方が多いのですが、その中で印象的なのがインストラクターをされていた先生の話です。
その先生も貧乏な学生時代、節約したのが食事。
昼の外食などはもってのほか、持参弁当で過ごしたそうですが、すごいのがそのメニュー。
毎日、白いご飯の上にみりんしょうゆで煮た煮干を敷き詰めたものだったそうです。
それでも、あるテクニックの創始者が海外から招聘されると、2日間で20~30万円の受講料であっても参加していたそうです。
本人曰く、元は絶対取るぞと、目が血走っていたと思う(笑)とコメントされていました。
私も3年間の学生時代を通算すると授業料、セミナー代、書籍代合わせて500万円はかかったと思います。
おかげで卒業後、鎌倉に引越ししてきた時はスッテンテンで、私の貯金と家の貯金を合わせてもン万円もなく(ン十万円でなく)
高校生の頃以来、一番お金がない時期でした。


もちろん高い受講料を払って得た技術が金額に比例して高いといえるものではないと思います。
3年間でいくらの受講料というものは云わば先行投資のようなもので、開業後事業を継続してゆくのにその中で培った技術が役に立つぐらいと言えるでしょうか。
そしてその技術(提供するサービス)というものも、物販なら商品そのものが形として目に見える。
スクールでは教材、美容理容ではヘアスタイル等サービスの結果が具体化して見えやすいのですが、我々手技の業界の商品(サービス)は形になって判別しやすいものではありません。
施術という具体化しにくい技術を提供してその対価に料金を頂くものです。


そこでご来院頂いた方でご自身が受けた私どもの技術に対してそれをどう評価して頂いているのか、分かり易いシーンがあります。
施術をお受けいただいて、さぁ受付のところでお支払いという折に、財布を忘れた、あるいはお金が足りない、という時。
[まぁ、そのうち払いますよ]ぐらいの雰囲気でお帰りになって、その後こちらからやんわり催促のご連絡を入れても、なかなかお支払い頂けない方もいます。(困ったもんだ)
それに比べて、ATMにすっ飛んでいってゼィゼィ言いながらお支払に帰ってきてくれる方や、施術のあと友達との待ち合わせがあったのでそのご友人にお金を借りて取って返しに来てくれたりすると、あぁ、私の技術を軽んじていなくてありがたいなぁと思ったりするのです。
施術という具体化しにくい技術を提供してそれを評価して頂ける、そんな一言や行動がとても身にしみてありがたく感じるとともに貧乏な学生時代の努力もいくらか報われたな、と思うのです。[裕]


写真

この図は人体の部位別重量比の模式図です。 総重量を150ポンドとし頭を10ポンド、腕(肩~指先)を10ポンド、体幹(身体の中心部で首~胸~お腹の部分)を70ポンド、脚(大腿~つま先)を25ポンドの重量比に表わしたものです。


さて、ポンド表記は我々日本人にはなじまないので、仮にこれを
体重50キログラムの女性に換算するとどうなるか。
各数値を1/3に変換し、キログラムをつければいいわけです。
この場合、頭の重量は約3.3キログラムとなります。
この重量はどのぐらいかというと、ほぼ、1.5リットルのペットボトルに入ったミネラルウォーター2本分の重量になります。
こう考えると頭は意外に重いんだということがお分かりいただけると思います。
さて、この重い頭は動物にとって最重要な臓器『脳』を入れているわけですから、むやみに傾いたり、揺らされたりしないようにしなければなりません。では、その『脳』を極力水平に保つためにはどこが頑張るのかというと、か細い首なのです。


例えば、デスクワークをしている姿を思い浮かべていただくと、両腕を前において作業をする(首の前の筋肉や前胸の筋肉が酷使され短縮する)あごを前に突き出す姿勢(水平視を保つため後頭部を圧縮)背骨全体のカーブが強まり猫背になる。
また、例えば利き手、利き足があることで身体の片側を偏重し、片側の筋肉群が短縮し身体を大きく曲げる。など等
様々な要因で身体は歪んでゆき、姿勢が悪くなっていくのです。


この姿勢の歪みをレントゲンに全面的に頼るのでなく、姿勢を評価できないものかと考えた人がいます。
カナダメモリアルカイロプラクティック大学のLyman.C.Johnston.D.Cです。
彼は手軽に測定できる計測器を開発し、姿勢(歪み度)を0~100までのスコアに数値化し分類をしました。
0は完全、1~5は良好、6~10は普通、11~20は貧弱、21~はより貧弱な不良姿勢。
21~のより貧弱な不良姿勢の人は背面から見て背骨が真っ直ぐでも、Cカーブでもなく、更にひと捻じれしたS字状の人が多くみられ、そういう人はすべて片側に緊張状態が現れ、慢性的な頭痛、頚部痛、腰痛、消化器障害を引き起こしやすく、回復しにくいそうです。
当然、臨床の場ではご来院される多くの方が先程のカテゴリーで11~20:貧弱、21~:より貧弱な不良姿勢の範疇に入ります。


では、良い方のカテゴリーに入る人(成人)はどれぐらいこの世にいるのでしょうか?
0:完全の人の出現率は0.5%以下、1~5:良好の人でも5%程度と良好な姿勢の人は極めて少ないようです。
ここアロハカイロ&フットパラダイスでもその1~5:良好の範疇に入るであろう方がご来院される事があります。
初めてご来院頂いた時、こちらでは問診の前に予診表に該当する症状に丸をつけてもらいます。
質問項目はアレルギー症候、内臓由来の症状、筋骨格系の問題、過去の病歴etc.50項目ほどもあるのですが、先程話に出た1~5:良好の範疇に入るであろう方にご記入をお願いすると、丸が一つもつかないのです。(つまりいたって健康で体調良好ということです)
なぜそんな方がご来院頂いたのか、不思議だと思いませんか?話は次回に続きます。[裕]


前回のコラムでは身体の歪み度をスコア化し、良好の範疇に入る方はいたって体調が良い、という話でした。
ではなぜそんな体調良好の方がここアロハカイロ&フットパラダイスにご来院いただくかというと、ご家族からのご紹介なのです。
しかもその方のご家族は祖母-夫婦-息子夫婦と3世代にわたってご愛顧いただいています。
何かの折に家族内でこちらの話題が出て、(そんなに体調が悪くないけど興味があるから言ってみよう)と思われたのかもしれません。


さて今回は自分が体験してみて誰を紹介するか。
一般的な購買心理を参考にして考えてみました。
紹介以外でこちらにお越しになられた方は私どもの(売り手側)広告宣伝を見て
『試しに行ってみよう』という感じでご来院いただくのがほとんどです。
1度来院してみて良かったら2度3度と重ねてご来院頂くでしょうし、たいしたことが無ければそれっきり足を運ばない、ということになると思います。
そして、何度かご来院いただいて、とってもこちらを気に入っていただけたなら誰かに紹介をする-これが通常の紹介への流れだと思います。
当然、紹介者は先程の(売り手側)の広告宣伝では無く、顧客として体験して評価しているわけですから中立的な立場です。
紹介者からあそこは良いよと聞いた人の判断は、お金を払って体験して中立的な立場から良いと評価しているので(売り手側)の情報より信頼置けるというものです。


こちらのアロハカイロ&フットパラダイスにご来院頂いた皆様のケースを調べてみました。
紹介で来られた方々の関係性で分類をしています。
例えばAさんがインターネットを見てご来院頂いて、その後Aさんのご主人のBさんが紹介でご来院頂いたケース→夫婦で来院
Aさんのご紹介で友人のCさんがご来院頂いたケース→友人で来院
この時、AさんとCさんは友人関係ですが夫婦の方でも来院されているので重複を省くため、夫婦のほうを優先。


Aさん→夫婦
Bさん→夫婦
Cさん→友人


このAさんがとっても気に入ってくれてさらに親御さんのDさんを紹介してくれると家族ぐるみという関係性になります。
Aさん→家族
Bさん→家族
Cさん→友人
Dさん→家族


この関係性に優先順位をつけると
単独<友人<夫婦、親子、兄弟<1家族(夫婦+親子、兄弟+親子)<3世代(祖父母+夫婦+子etc)
当然、優先順位が上の関係性でこちらアロハカイロ&フットパラダイスをご利用頂いているほど、良い評価をいただいていることになります。

そして、アロハカイロ&フットパラダイスの全顧客を調べた結果が以下のものです。(暇だな~ウチは)
友人→25.1%
夫婦→16.1%
親子→9.2%
兄弟→2.3%
1家族→6.0%
3世代→2.4%
単独→38.2%


紹介以外で来られた方はどなたも最初は1人でご利用頂くのですが、それが知り合いへ、夫婦へと紹介が広がっていった結果の数字が上の結果だと思います。
60%以上の方がどなたかとつながりを持って、こちらを利用していただいている-大変ありがたいと思うのです。[裕]


4年ほど前にこのタイトルで施術者がいかに視診を大切にしているかと言うことを書きました。
やはり、今も初診時に患者さんが入室されて、触診に入るまでに私はかなりのチェック項目で体の動きを観察しています。そして、視診の重要性を痛感していますので、具体例を思いつくままに挙げてみましょう。


入室→スリッパをどちらの足から履くか→鞄はどちらの手で持っているか(肩に掛けているか)→着席した時の両膝の位置→予診表にご記入いただくときの利き手・姿勢→問診中痛いと訴える時の無意識なうちの手かざしの場所→立位での身体の歪みを診る際、立ち位置・足の配置→座位での身体の左右回転角度の違い
具体的な触診による身体の歪みの検査。
→ベット上で寝返りする時の身体の回転の仕方(これは検証用かな)


次に利き手・利き足が右利きの人はどういう傾向が多いかの現時点での雑感を挙げていきます。

スリッパをどちらの足から履くか→利き足は例えばサッカーでボールを蹴る側の足。したがって右足から履く方が多い。


鞄はどちらの手で持っているか(肩に掛けているか)→利き手が右であっても肩こりは左の方がきつい、と言う人はたいてい重い鞄を左手に持つか左肩にかけているケースが多い。


着席した時の両膝の位置→右ひざを後ろに引いているケースが多い。


予診表にご記入いただくときの利き手・姿勢→問診で利き手を聞くだけでなく潜在的な左利きを聞くのにも役立つ。


問診中痛いと訴える時の無意識なうちの手かざしの場所→肩や腰などの痛い箇所について右・左どちらがひどいですか?と質問しても両側、と返事が返ってくるケースが圧倒的に多いが、無意識に手かざしている場所が問題の場所であるケースが多い。


立位での身体の歪みを診る際、立ち位置・足の配置→右利きの人はパーソナルスペースである右側を大きく取る位置に立つ。また、右の踵が後ろになる立ち位置が多い。


座位での身体の左右回転角度の違い→右側に大きく回旋できる...etc


所要時間を出来るだけ短縮し、効率よく問題のある箇所にたどり着くために、施術者にとっては視診は非常に重要なのです。
そして、前回の4年前と同じ締めくくりをしようと思います。
『その施術者は目の前にいる患者さんから見て得られる身体の情報を集めようと必死なのです。
もし、あなたが女性で美人であったとしても、そのことに興味を持ってジロジロ見ているわけではないのです。(・・・たぶん)』[裕]


 患者さんからの電話で
「今日どこでもいいですから空いているところに入れてください!」
などと電話がかかってくることがあります。
来院されお着替えを案内すると、
「今日は状態が悪くて着替えもままならないので、このままでいいですか?」
聞けばいわゆるぎっくり腰とのこと。
可動痛検査をすると伸展(後ろへ反らせる)10度で痛みがあり、右回旋、左側屈でもそれぞれ痛みが強い。ここ2-3日どんな動作にも痛みが伴い、夜寝てる時も無意識に寝返りを打とうとすると痛みが走り、熟睡も出来ないとの事。
ベットにうつ伏せになってもらう時にも、四つん這いの状態で痛みで身体が固まり、どういう風に身体をベットに接地させて良いか分からないほどで、
「痛い!」
を連呼しながらやっとうつ伏せになれる状態です。


 さて、こういう時に私が
「痛いところはどこですか?」
と質問したらたいていの方はどう答えると思いますか?
背中半分の領域をぐるりと回して
「ここらへんです」


今回の方は右に偏った痛みがあったらしく、背中1/4の領域だったのです。
(具体的にはウェストラインより上でブラのラインより下の右半分)


 その領域のどこに触れても「痛い!」の連呼なので、施術はまずアイシングをし、触れたときの痛みが緩和するのを待ちます。
ある程度触れられるようになると、明確に熱感と硬結を認める箇所があるのが分かります。
今回の場合は第二腰椎肋骨突起部の炎症。
硬結は直径3センチ程。
あとは、この皮下組織の軟部組織や筋膜を緩める操作をするだけです。


 この施術の過程で10分後、20分後で痛む領域の範囲が狭まってきます。
20分後には患者さんの感じる痛みの領域が硬結の中心から直径5センチぐらいの範囲まで焦点が絞られて感じられるようになるのです。
こうなってくれるとしめたもので、あとは座位で脊椎調整をしてテーピングで一丁上がり!ってかんじです。


その患者さんはまだ不安が残るからと予約の上、翌日も来院されたのですが、経過を聞くと自宅でアイシングを心掛けた結果も手伝って夜寝る前には80%は痛みが緩和して熟睡できたそうです。


さて、臨床の場で以上のようなケースは日常茶飯事なのですが、不思議なのは急性期には痛みの範囲がとても広範囲に感じているのに施術を進めるとその範囲が急速に狭まってゆくことです。
この現象には今回のタイトルにもある2点弁別閾(にてんべんべついき)が関係しているんじゃないかと思っています。
この続きは次回に。[裕]


 さて、前回からの続きです。
いわゆる、ギックリ腰といわれる急性腰痛の原因は大別すると3つ挙げられるでしょう。
1つ目は椎間関節(背骨と背骨の間の関節)2つ目は筋肉と筋膜 3つ目は棘間・棘上靭帯(背骨と背骨の間の靭帯)これらの関節、筋肉、靭帯が急に痛む事によって急性腰痛が発症します。
今回の患者さんの例では、きっかけとなる動作、どのように身体を動かすと痛むか等などを聞いた結果、恐らく腰部横突間筋由来の炎症のようです。


ここで、痛い!などに代表される体性感覚について触れたいと思います。
体性感覚とは五感の内の四感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚)を除いた身体で感じる感覚です。
これを表にしたら下のようになります。
1皮膚感覚 ①触圧覚
②温度感覚
③痛覚
体性感覚 ④くすぐったい・かゆい感覚
2深部感覚 ①運動感覚
②振動感覚
③深部痛覚

  
 体性感覚とは大別すると体表面の皮膚にあるセンサーで感じる感覚と皮下組織(筋膜、筋、腱、骨膜、関節)にあるセンサーで感じる感覚に分けられます。


 今回のギックリ腰で感じる痛みは1皮膚感覚-③痛覚ではなく(これは皮膚に針を刺したときに感じるその瞬間の痛覚)、皮下組織、筋肉、腱、骨膜、関節などの深部組織から生じるので2深部感覚-③深部痛覚になるのです。
この深部痛覚の特徴は局在性(痛いのはここ!などと限局できること)に乏しく、持続的に痛みが続くことです。
なので、前回のコラムで触れたように
「痛いところはどこですか?」
と質問したらたいていの方は背中半分の領域をぐるりと回して
「ここらへんです」
となるのは、深部痛覚の特徴ゆえの話なのです。
思いのほか話が長くなってきました。この続きは次回に。


 さて、今回はまず皮膚と筋肉と関節の情報のやり取りの話から。
外界からの皮膚刺激は運動器(筋肉や関節)に影響を及ぼします。
例えば、上腕部を例にとると、漫画で有名なポパイの力こぶ。上腕二頭筋と名づけられているのですが、これが働くと肘関節を曲げる(屈曲)ことになります。よって屈筋。
その筋肉の裏側-女性がよくたるむと困ると言われる、いわゆる二の腕のところ-が上腕三頭筋と名づけられている筋肉でこの筋肉の働きは上腕二頭筋と正反対で肘関節を伸ばす(伸展)ことになります。したがって伸筋。
この筋肉が同時に働くと肘関節は曲げることも伸ばすことも出来なくなるので、片一方が縮むと、他方は伸びるように働くのです。このシーソーのような関係を拮抗といいます。


 さて、外界からの皮膚刺激は運動器(筋肉や関節)にどのように影響を及ぼすかと言うと、上腕二頭筋部の表面にある皮膚に刺激を加えると、上腕二頭筋が収縮するように働きます。
それが拮抗の関係から上腕三頭筋を伸ばし、肘関節に曲がる方向への情報が伝達されるのです。
研究によると、皮膚感覚と深部感覚は密接な繋がりがあり、関節覚(関節の位置情報)の50%以上は皮膚感覚の影響を受けているそうです。
さて、ここまでが肘関節一つとっても皮膚と筋肉と関節が様々な情報伝達をやり取りしながら協調して動いているという事をお分かりいただきたかったのです。


 そして、今度は痛覚過敏の話。
前回、皮膚感覚には①触圧覚 ②温度感覚 ③痛覚 ④くすぐったい・かゆい感覚 があるとご説明しました。
皮膚のある箇所に直径1cmほどの面積のケガなり、炎症なりが起こったとします。
このとき皮膚上では上の③痛覚以外の①触圧覚 ②温度感覚 ④くすぐったい・かゆい感覚のセンサーには抑制がかかります。
そして、③痛覚のみが促進されるのです。痛覚の促進される場所は患部の直径1cmほどの面積ではなく、広範囲な場所になるのです。
これが痛覚過敏。患部周辺の広い範囲のどこを触っても痛い、という急性期の症状です。
ところが、患部に麻酔を打つと痛覚の促進される場所が急速に狭まります。
これにより皮膚上の痛覚を担当しているセンサーはネットワークを持っていると考えられているのです。


 このコラムの前半部は身体を動かすために、表層の皮膚と深層の筋肉、関節は情報伝達をやり取りしながら協調しているということひいては皮膚感覚と深部感覚は密接な繋がりがあるということ。
コラムの後半部は恐らく生体防御のためにケガなどの緊急事態には痛覚がネットワークを広げて身体に対して警報を出すことをご説明しました。
次回は一連のコラムの最終話です。[裕]


 2点弁別閾(2点識別テストともいう)とは皮膚に同時に加えられた2つの刺激を2つが別物と(2点での刺激と)識別できるかと言うテストのことを言います。
具体的にはコンパスなどの器具を使いコンパスの針を何mmか離して、同時に皮膚にくっつけこれを2点と識別できる距離を調べます。


 この2点を別物だと識別できるのは体表の部位によって大きく異なるのです。
個人差もあるのですが、ある研究結果によると 舌先1mm 指の先端2mm 唇5mm 手の甲31mm 前腕(肘から手首までの間)下腿(ふくらはぎの所)40mm 胸54mm 背中68mm !?
つまり、感覚が鋭い箇所の舌先ではコンパスの間が1mm離れていればそれを2点の刺激と感ずるのですが、感覚が鈍い背中ではナントその68倍の68mmもコンパス間の距離を離さなければ2点の刺激と区別できないのです!
舌先、指の先端、唇(この他に瞼なども)は細かな作業を要する箇所なので進化の過程で感度の高さを要求されてきたと思われるのです。


 ここからは私の推測なのですが、逆に背中に感度の鈍さを与えられてきたのも理があるゆえだと思います。
ヒトを除く脊椎動物(魚類、両生類、爬虫類、哺乳類)は同じ構造をしています。
身体の推進方向に対して背骨は平行の関係で、前方に目、鼻、口があり、後方に腸管最後の肛門がある。
背骨よりも上(空の方向)には駆動系の筋肉が多く配置され、背骨より下(地面の方向)には消化、循環、生殖機能の内蔵が配置されている。


 四足の哺乳類のケースを考えてみると、野山を駆け巡る時、一番傷つきやすいのが背中になります。
指先を怪我した時の事を思い出してもらえばお分かりかと思うのですが、これが小さな傷でも痛い。ズキズキと痛む。
感度の高さを持っている箇所はこのように必要以上に痛みを感じてしまう。
であるから、進化の上では逆に一番傷つきやすい背中には感度の鈍さを与えられてきたのでないか?と言う、推測です。


 それゆえに、このコラムの一番最初に触れた、私が臨床でよく出会うケースのギックリ腰で
「痛いところはどこですか?」
と質問したらたいていの方は背中半分の領域をぐるりと回して
「ここらへんです」
ということになるのでしょう。


 さて、パートナーのいる方は試しに2点識別テストをやってみて下さい。
器材はコンパスなど無くても芯を出していないシャーペン2本で十分です。
えっ~!背中ってこんなに鈍いの!!と驚くこと請け合いです。[裕]

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